車両無過失事故に関する特約とは、相手方に100%の過失がある事故で、ノンフリート等級をダウンさせずに自分の車両保険を使って補償が受けられる便利な特約です。
相手が無保険だと補償を受けるのは難しい
交通事故の相手方が任意保険に加入しているとは限りません。対人事故であれば強制保険の自賠責保険である程度保障を受けられますが、物損事故には自賠責保険は適用されませんので補償は受けられません。
つまり、相手方が任意保険の対物賠償責任保険に加入していない限り、修理費用は相手方に直接支払ってもらうことになります。対物賠償責任保険の全国加入率は73%程度と4台に1台は対物賠償が無保険となっています。
しかし、このような相手方はなかなか賠償金を支払ってくれないケースが少なくありません。そもそも相手方に賠償するだけの財力がなければどうしようもありません。
こうなると、自分の車両保険で修理するか自腹で修理するしかありません。しかし、車両保険を使ってしまうと、ノンフリート等級が3等級ダウンしてしまいます。
このような場合に、等級をダウンさせることなく車両保険を使えるのが、車両無過失事故に関する特約です。
車両無過失事故に関する特約を使うための条件
この特約を使うには下記の条件を全てクリアする必要があります。
- 車対車事故による損害であること
- 100%相手方過失の事故であること
- 相手方の車両と運転者が判明していること(当て逃げではないこと)
このうちネックなのは要件2の100%相手方過失の事故です。一般的に交通事故は大抵の場合被害者にも過失割合が負担させられ、100:0のケースはあまり多くありません。
つまり、この特約が使えるシチュエーションは、決して広いものではありません。この特約を付帯するのであれば、この点には注意する必要があります。
3の要件が必要な理由は、損害賠償請求債権を保険会社が代位行使するためです。賠償責任保険の保険金を受け取った場合と同様、この特約の保険金を受け取った場合も、相手方に対する損害賠償請求債権は保険会社に移転します。
保険会社はこのような賠償金の取り立てのプロですし、加入者に支払った保険金分の損失を少しでも取り戻したいと考えているので、可能であれば強制執行を掛けていくこともあります。
車両新価特約との相性がいい
車両新価特約は、年式の新しい車に限って、時価ではなく新価相当額が補償される特約です。この特約は車両無過失事故に関する特約と相性がいいため、可能であれば同時に付帯するのがおすすめです。
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車両無過失事故に関する特約とよく似た特約に無保険車傷害特約があります。こちらは、相手方が無保険の場合の人身傷害を補償する特約です。