被害者側の事情による減額は困難

交通事故の過失相殺は、発生した損害の公平な分担という考えに基づいています。そのため、被害者側に何らかの身体的・体格的な特徴や疾患等があり、それが損害の原因に寄与しているのであれば、その程度に応じて過失相殺(の類推適用)を認めるのが妥当なようにも思えます。

しかし、現在の実務では、これらの被害者側の事情を過失相殺を考える上では原則として考慮しないこととしています。

なぜ被害者側の事情は考慮されないのか

確かに、被害者側の事情を考慮して、過失相殺を行うのが公平な観点からは妥当と言えます。しかし、問題は判定基準が不明確であるという点があります。

被害者側の事情を過失相殺の際に加味するには、まず健康な人間という基準を定め、その基準との差を反映させる必要があります。ここで一番問題なのが、「どのような人間が健康な人間の基準となるのか」という点です。

人の健康状態は千差万別で、年齢や性別によっても異なりますしその日の体調によっても変わってきます。このような状況では、健康な人間という基準を提議することが困難です。そのため、実務では原則として被害者側の事情は考慮しないこととなっているのです。

⇒ 体質的素因による賠償額の減額

被害者側の事情が考慮される例

なお、例外的に、被害者側の事情が認められる場合もあります。

例えば、若年性の骨粗鬆症患者が交通事故で骨折した場合が考えられます。通常の同年代の健康な骨であればまず間違いなく骨折するようなことはないという事情が明確であれば、被害者側の事情での過失相殺が認められる可能性があります。

逆に、高齢者が骨粗鬆症であることは珍しいことではなく、あるいは、国民の3分の1が罹患していると言われる高血圧症を原因とする損害の拡大は、被害者側の事情として考慮されず、過失相殺はなされないということになります。

この他、一酸化炭素中毒の既往がある被害者について減額を認めたケースやこれまで未発症だったOPLL(後縦靭帯骨化症)が事故によって発症した場合に減額を認めたケースがあります。

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