シートベルトは2008年に後部座席での装着も義務付けられたため、現在ではすべての座席で装着が義務付けられています。しかし、シートベルトの正しい装着方法を知らない人や後部座席での装着の重要性を知らない人も少なくありません。ここではシートベルトの正しい装着方法やその必要性を説明します。
目次
シートベルトの正しい装着方法
シートベルトを正しく装着していないと事故の時シートベルトが原因の怪我をする恐れがあります。安全のために装着しているシートベルトで怪我をしては本末転倒です。正しいシートベルトの装着方法を理解しておきましょう。
シートベルトには肩ベルトと腰ベルトがあります。それぞれの位置が正しくないと、事故の特負傷する恐れがあります。
肩ベルトは、鎖骨の中央から肋骨にかけて通るように締めます。肩ベルトが首の側に寄りすぎると衝突のショックで頸部を負傷する恐れがあります。
腰ベルトは、左右の骨盤に当たるように締めます。お腹の上を通す人が多いですが、衝突のショックで内臓を痛める恐れがあります。
最後に、シートベルトのたるみを伸ばし、ベルトと体がどの部分でも密着するように調整します。
後部座席のシートベルトの必要性
ドライバーや助手席と比べて、後部座席はシートベルトの装着率が低くなっています。しかし、後部座席でシートベルトを装着しないと次のようなリスクがあります。
1.同乗者に致命傷を負わせる
後部座席でシートベルトを締めていないと、衝突のショックで身体が強く前に飛び出します。それによって前の座席が押しつぶされ、その座席の同乗者が致命傷を負う恐れがあります。実際にそのような死亡事故が発生しています。
2.自分が致命傷を負う
当然のことですが、前の同乗者に致命傷を負わせるような勢いで前の座席にぶつかれば自分も致命傷を負います。エアバッグはシートベルトを装着することを前提に作られていますので、エアバッグがあるからと言って安心できるわけではありません。
3.車外放出の恐れがある
交通事故では強烈なエネルギーが働きますから、その方向に窓ガラスがあれば乗員はガラスを突き破って外に放り出されます。後部座席の車外放出による死亡者のシートベルト装着率はわずか1%です、また、車外放出死亡事故では子供の割合が34%となっています。
シートベルトの意外なメリット
シートベルトは安全が第一の目的なのは言うまでもありませんが、他にもメリットがあります。それは車酔い対策に有効という点です。シートベルトは体を圧迫しますから、車酔いが起きやすそうで装着に抵抗がある人もいますが、正しく装着すれば逆に車酔いを減少させることができるのです。
車酔いの原因はいろいろありますが、振動で体が揺すられるというのも一つの要因です。シートベルトを正しく装着することで、正しい姿勢で体を固定することができ、車酔いの原因となる振動を減らすことができるのです。
チャイルドシートのシートベルト
6歳未満または身長140cm未満のいずれか該当する場合は、通常のシートベルトではなくチャイルドシートを利用の上シートベルトを装着する必要があります。
シートベルト装着義務違反
シートベルトの装着をしないで運転して捕まった場合、反則金はありませんが点数が1点加算されます。運転席、助手席、後部座席、チャイルドシートのどれか一つでも違反していればアウトです。ただし、後部座席について違反が取られるのは高速道路走行中のみです。
シートベルトの装着率
毎年JAFと警察庁が合同でシートベルト装着状況全国調査を実施しています。2016年10月実施の調査結果を分析を交えてご紹介します。
参考URL:http://www.jaf.or.jp/eco-safety/safety/data/driver2016.htm
シートベルト装着率の推移
全体的な傾向としては年々上昇傾向があります。安全意識の向上、過激なドライバーの減少等が背景にある者と思われます。しかし、これに対して後部座席の装着率は2008年の装着義務化以降伸び悩んでいる状況にあります。
運転者のシートベルト装着率推移
調査結果の推移をみると、運転者の装着率は一般道・高速道路共に年々上昇している傾向がみられます。
一般道では2005年に92.4%だったのが、2016年には98.5%まで上昇しています。装着していない人は11年間で5分の1に減少しました。高速道路ではもともと装着率が高く2005年で97.7%でしたが、2016年には99.5%と、こちらも11年間で4分の1に減少しています。
なお、一般道では装着しないけど高速道路では装着するという人は概ね2人に1人程度で推移しており、増減は見られません。
助手席同乗者のシートベルト装着率推移
助手席同乗者の装着率も、一般道・高速道路共に装着率が上昇する傾向がみられます。
一般道での助手席同乗者のシートベルト装着率は2005年に80.3%だったのが、2016年には94.9%まで上昇しています。装着しない人は11年間で4分の1に減少しています。
高速道路での助手席同乗者装着率のシートベルト装着率は2005年に92.1%だったのが2016年には99.5%まで上昇しています。装着しない人は11年間で16分の1に減少と、一般道の場合や運転者の場合より減少率が大きくなっています。
これは2008年の後部座席シートベルト義務化の寄与度が高いものと考えられます。グラフを見てもらえばわかるように2007年から2008年の1年間で装着率が大きく上昇しているためです。
一般道では装着しないけど高速道路では装着するという人は概ね2人に1人程度で、運転者と同程度で推移しています。
後部座席同乗者のシートベルト装着率推移
後部座席同乗者のシートベルト装着率は一般道・高速道路共に低い水準で推移していましたが、2008年の装着義務化に伴い大きく装着率が上昇しました。
しかし、高速道路では60~70%台で上昇傾向にあるのに対して、一般道では30%台でやや伸び悩んでいるように感じられます。義務化されても罰則がなく、必要性も感じない人が多いようです。
運転者のシートベルト装着率
一般道
一般道での運転者のシートベルト装着率は全国平均で98.5%、最も装着率の高い都道府県は長崎県の99.8%で、ほとんどの都道府県で98%以上となっています。
これに対して、装着率が最も低いのは沖縄県の95.8%で、1位の長崎県の24倍無装着運転者が多いということになります。この他、大阪府や三重県で96.9%となっています。
高速道路
高速道路での運転者のシートベルト装着率は全国平均で99.5%となっています。全国的に高い水準となっており、11の都道府県で100%の装着率となっています。
装着率が最も低いのは香川県で、97.4%となっています。2番目に低いのが沖縄県の97.8%です。
100%の都道府県が多くある中でこのような開きがみられるのは、地域ごとの意識の差にかなり開きがあるものと考えられます。
助手席同乗者のシートベルト装着率
助手席同乗者のシートベルト装着率は一般道・高速道路共に運転者よりやや低い水準となっています。運転者が装着していなければ助手席同乗者も大抵は装着していないでしょうからこの水準は自然なものと言えるでしょう。
一般道
一般道のシートベルト装着率は、全国平均で94.9%です。装着率の最も高い都道府県は青森県で98.3%です。これに対して、最も低いのは沖縄県で87.4%と際立って低くなっています。ワースト2は徳島県で90.8%です。
高速道路
高速道路のシートベルト装着率は全国平均で98%です。装着率が最も高い都道府県は岩手県・宮崎県で100%でした。装着率が最も低いのは沖縄県で90.7%でした。
後部座席同乗者のシートベルト装着率
2008年にシートベルト装着が義務化されて装着率は大きく上昇しましたが、運転者・助手席同乗者と比べて低い水準で推移しています。
一般道
一般道のシートベルト装着率は全国平均で36.0%です。装着率が最も高い都道府県は長野県で49.0%でした。装着率が最も低いのは鹿児島県で21.8%でした。
高速道路
高速道路のシートベルト装着率は全国平均で71.8%です。装着率が最も高い都道府県は秋田県で89.6%でした。装着率が最も低いのは沖縄県で38.6%でした。
シートベルト装着率に関する管理人の所感
東北地方のシートベルト装着率が比較的高い水準にあると感じました。逆に装着率の低さが目立ったのが沖縄県です。因果関係・相関関係の有無はわかりませんが、沖縄県は自動車保険の加入率も他の都道府県と比べると低い水準にあります。