運行支配・運行利益の帰属しない者の運行供用者責任

運行支配・運行利益について言及することなく運行供用者責任を肯定した判例です。運行利益・運行支配が帰属しない者であっても、実質的に見て運行供用者責任を認めるのが望ましいと判断されたものです。

最高裁昭和50年11月28日判決民集29管0号1818頁

事案

XはYの運転する自動車の事故により負傷しました。Yは当該自動車を分割払いで購入したが、Yには信用がなかったため、同居する父親のZを所有者名義人として勝手に登録していた。ただし、購入代金は全額Yが支払った。Zは後からそのことをYに打ち明けられてしぶしぶ承諾した。自動車は庭先に保管していたが、Zは運転免許証を持っていなかったし、同乗したこともなかった。

判決

自動車の所有者から依頼されて自動車の所有者登録名義人となった者は、所有者となった経緯、所有者との身分関係、車の保管場所等を考慮して自動車の運行を事実場支配・管理することができ、社会に害悪をもたらさないよう監視・監督すべき立場にある場合には、その登録名義人は運行供用者に該当するとした。その上で、ZはYの親であり、同じ農業に従事し、自動車も庭に保管してあることから、Zには運行供用者責任が認められるとした。

判決のポイント

この判決の特徴は、最高裁が従来示してきた運行供用者責任の実質的根拠である「運行利益」「運行支配」について言及していない点にあります。これは、従来の「運行利益」「運行支配」という基準を利用するとZに責任を追及できないという事情があったからと考えられます。

もし仮に従来の判断基準で考えると、Zは運転したこともなければ同乗したこともなく、自動車の運行による利益を享受しているとは言えません。また、運行支配という点でも同じことが言えます。

最高裁は、本件の個別的な事情から考えてZの運行供用者責任を認めるべきと考えた上で、従来の判断枠組みではZの責任追及が困難であると考え、このような判決を出したものと考えられます。

なお、この判決以降も最高裁は「運行支配」「運行利益」を実質的要件とする判決を下しているため、本判決で判例が変更されたわけではないという点には注意する必要があります。

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