ここでは、道路交通法上の特定違反行為に該当する違反行為の点数と罰則内容を紹介します。特定違反行為とは、道路交通法に規定されている違反行為のうち、特に重大な違反行為を指します。
特定違反行為の特徴
特定違反行為は以下のような特徴のある違反行為です。
- 一般違反行為と比べて重大な違反
- 刑罰は懲役刑となる可能性が高い
- 違反点数が35点以上なので確実に一発免取
- 免許取消の欠格期間が一般違反行為の場合より長期になる
道路交通法の違反行為には、様々な違反行為が規定されていますが、通常の違反行為である一般違反行為とは別に、特に重大な違反として規定されている特定違反行為があります。
なお、道路交通法違反には「軽微な違反行為」と「重大な違反行為」という分類もありますが、これらは両方とも一般違反行為です。特定違反行為は「重大な違反行為」よりさらに重い違反であると言えます。
このような重大な違反ですから、特定違反行為に該当する場合は、懲役刑を受ける可能性が高くなります。また、違反点数は最低の酒酔い運転やひき逃げでも35点ですから、確実に一発で免許取消となります。
免許取消の欠格期間も一般違反行為より長くなります。免許取消の前歴がなくても少なくとも3年間は免許が再取得できません。
特定違反行為の内容
ここからは特定違反行為の内容について具体的に説明していきます。大きく分けて特定違反行為には次の4類型があります。
- 運転殺人・運転傷害
- 危険運転致死傷
- 酒酔い運転・麻薬等運転
- 救護義務違反
運転殺人・運転傷害
運転殺人・運転傷害とは、自動車を武器として利用し人を故意に殺傷することを言います。故意に人を死傷させていますので、刑罰としては刑法の殺人罪、傷害罪、傷害致死罪が適用されます。違反点数は被害者の生死や傷害の程度によって異なります。
運転殺人・運転傷害の加算点数
被害者の負傷状況 | 点数 | 罪名 |
---|---|---|
15日未満 | 45点 | 傷害罪 |
15日~30日未満 | 48点 | 傷害罪 |
30日~3か月未満 | 51点 | 傷害罪 |
3か月以上、後遺障害 | 55点 | 傷害罪 |
死亡 | 62点 | 傷害致死罪、殺人罪 |
危険運転致死傷
こちらはテレビや新聞のニュースでよく聞くことですが、事故が起こってもおかしくない危険な運転行為を行った結果人を死傷させてしまうことを言います。明確な故意がない点で運転殺人・運転傷害と異なりますが、故意に近い悪質な行為であるため、特定違反行為として規定されています。
刑罰としては自動車運転死傷行為処罰法の危険運転致死傷罪が成立します。加算点数は運転殺人・運転傷害の場合と同様、被害者の死傷の程度によって決まります。
危険運転致死傷の加算点数
被害者の負傷状況 | 点数 | 罪名 |
---|---|---|
15日未満 | 45点 | 危険運転致傷罪 |
15日~30日未満 | 48点 | 危険運転致傷罪 |
30日~3か月未満 | 51点 | 危険運転致傷罪 |
3か月以上、後遺障害 | 55点 | 危険運転致傷罪 |
死亡 | 62点 | 危険運転致死罪 |
酒酔い運転・麻薬等運転
違反点数:35点 罰則:5年以下の懲役または100万円以下の罰金
酒酔い運転は、飲酒運転のうち運転者が、泥酔していて運転が困難な状況で運転することです。酒気帯び運転と異なり、アルコール濃度に関係なく適用されます。
麻薬等運転は、大麻やヘロイン、コカイン、覚醒剤等を使用して運転が困難であるにもかかわらず運転することを言います。当然、道路交通法上の違反行為であるだけでなく、麻薬等の所持、使用に関する罪も問われることになります。
救護義務違反
違反点数:35点 罰則:10年以下の懲役または100万円以下の罰金
救護義務違反とは、いわゆるひき逃げのことです。道路交通法は自動車の運転者に対して、交通事故で負傷した人を救護することを求めています。人の生死に関わることですから、重大な特定違反行為として定められています。
なお、被害者を引きずっていることに気付きながら逃走した場合や、自己の発覚を防ぐために被害者を見つかりにくい場所に隠したケースが存在しますが、この場合はいずれも裁判で殺人罪と判断されました。