「被害者側」の範囲1(配偶者)

交通事故で被害者が受けた損害は、加害者に賠償する責任があります。しかし、被害者にも一定の過失が認められる場合には、過失相殺によって損害賠償額が減額されることになります。このときに過失相殺の対象となるのは、純粋な被害者本人の過失だけを指すのではなく、被害者の過失が対象となります。

そこで、「被害者側」とはどこまでの人を言うのか、という問題が生じています。ここで紹介する判例は、被害車両に同乗していた配偶者の過失が争われたものです。

最高裁判所判決昭和51年3月25日民数30巻2号160頁、判時810号11頁、判タ336号220頁

事例

Aが運転する自動車は、信号のない交差点でYが運転する自動車と衝突事故を起こし、Aの車両に乗っていた配偶者のXが負傷した。XはYに対して治療費等を損害賠償として請求した。これに対してYは。交通事故の原因はAにもあり、Aの過失が被害者側の過失に当たるとして、過失相殺による損害額の減額を主張した。

判決

過失相殺制度は、加害者と被害者に生じた損害を公平に分担させることを目的とするものであるから、被害者の過失には、被害者本人だけでなく、被害者の身分上・生活関係上一体となる「被害者側の過失」が含まれるとした。
そのうえで、配偶者については、その婚姻関係が破綻しているような事情がない限り、被害者側の過失と認められるとして、過失相殺を認めた。

解説

冒頭で説明したように、判例は、過失相殺の対象として被害者本人だけでなく、被害者側の過失を認めています。そして、その対象範囲は被害者本人と身分上・生活関係上一体である場合としています。

正常な婚姻生活が送られている夫婦であれば、被害者側の射程内に入るということになります。また、後の判例では、法律上の婚姻関係でなく、事実上の婚姻関係にあるに過ぎない、いわゆる内縁状態の場合でも被害者側に該当するとしています。

本判決で明示されているように、婚姻関係が破綻していた場合やたまたま同乗していただけの知人、友人については、身分上・生活上一体であるとは言えませんから、Aの過失は過失相殺の際は考慮されないことになります。

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