労災特別支援金と損益相殺

労災事故が発生すると、事業者が加入している労災保険から、保険給付を受けることができます。また、別途特別支援金が給付されることがあります。ここで紹介する判例は、労災給付や特別支援金が、損益相殺の対象となるかどうかが争われたものです。

なお、この事例は交通事故の判例ではありませんが、業務中の交通事故や通勤中の交通事故は労災事故ですので、ここで紹介しています。

最高裁判所平成8年2月23日判決民集50巻2号249頁、判時1560号91頁、判タ904号57頁

事例

パートタイマーのXは業務中の労災事故によって傷害を負い、10級の後遺障害が残ってしまった。Xは労災保険の給付を受けるとともに、休業特別支援金約65万円と傷害特別支援金約40万円の給付を受けた。その後Xは雇用主Yに対して損害賠償請求訴訟を提起したが、Yは休業特別支援金と傷害特別支援金については損益相殺されるべきだと主張した。

判決 労災保険給付は損益相殺肯定 特別支援金は否定

判決はまず、次のように労災補償の給付について損益相殺が認められることを確認した。
使用者はその給付の価額の限度で労働者に対する損害賠償の責を免れると解される。また、第三者の起こした事故について保険給付がなされたときは、保険金を拠出した政府が第三者に対する損害賠償請求権を代位取得し、第三者から先に賠償金を受け取った場合は、その額に応じて保険給付が減額される。
これに対して、判決は次のように述べて、特別支援金の損益相殺を否定した。
特別支援金は労働福祉事業の一環として被災労働者の療養生活の援護等によりその福祉の増進を図るために行われるもので、保険給付とは趣旨が異なる。

解説

労災保険給付は、労災事故の被害者の生活を保障する目的でなされるもので、判例の示すように法律に規定されている内容から損益相殺がなされると考えられます。

これに対して休業特別支援金や傷害特別支援金といった特別支援金制度は、通常の労災保険給付とは趣旨が異なります。そして、損害賠償請求権の代位取得や既に支払われた賠償金相当額の駆除規定も存在しませんから、こちらについては損益相殺を認めませんでした。

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