かつて路面電車は都市の公共交通機関として活躍していましたが、時代と共に少なくなっていきました。しかし、最近では路面電車の利点が再評価され、活気を取り戻してきています。ここでは路面電車の走る地域特有の道路交通法違反について紹介します。
罰則内容と違反点数
路面電車に関する違反には、「路面電車後方不停止」と「軌道敷内違反」があります。いずれも交通反則通告制度の対象となっており、青キップとなっています。それぞれの反則金と違反点数は次の通りです。
違反名称 | 罰則 | 違反点数 |
---|---|---|
路面電車後方不停止 | 反則金7,000円 | 2点 |
軌道敷内違反 | 反則金4,000円 | 1点 |
※反則金の額は、普通車の場合の金額です。
いずれの違反も、路面電車のない地域の人は知らないことが多いようですので、路面電車の走っている旅行先等で運転する場合は注意してください。
路面電車後方不停止
自動車が乗客の乗降のために停車している路面電車に追いついたときは、乗客の乗降が終わり、路面電車を降りた乗客が道路の横断を終えるまで、自動車は後方で停止しなければならず、路面電車を追い越すことができません。(道路交通法第31条)
ただし、次の場合は路面電車から1.5m以上の間隔を空けて徐行すれば追い越すことができます。
- 停留所に安全地帯が設置されている場合
- 乗降客がいない場合
のいずれかの場合以外に追い越すと路面電車後方不停止となります。路線バスであれば、乗降中は対向車線にさえ注意していれば追い越すことができますが、路面電車の場合は、停留所が道路中央にありますから、乗降客の横断があり、扱いが異なっています。
最近ではほとんどの場合プラットホームや信号が整備されていますが、そうでない場所もありますので注意してください。
軌道敷内違反
路面電車は文字通り道路を走行しますが、電車ですから軌道敷(きどうしき)があります。自動車はこの軌道敷内には原則として立ち入ることができません。(道路交通法第21条)
軌道敷設に立ち入ることができるのは次のいずれかの場合に限られています。下記のいずれにも該当しないのに軌道敷内に立ち入ると軌道敷内違反となります。
- 右折、左折、横断、転回をするために横切る必要がある場合
- 道路の幅が狭くやむを得ずはみ出してしまう場合
- 道路損壊や道路工事でやむを得ず軌道敷内を通行する場合
- 道路標識等(右図)で軌道敷内の通行ができると示されている場合
参考条文
道路交通法第31条(停車中の路面電車がある場合の停止又は徐行)
車両は、乗客の乗降のため停車中の路面電車に追いついたときは、当該路面電車の乗客が乗降を終わり、又は当該路面電車から降りた者で当該車両の前方において当該路面電車の左側を横断し、若しくは横断しようとしているものがいなくなるまで、当該路面電車の後方で停止しなければならない。ただし、路面電車に乗降する者の安全を図るため設けられた安全地帯があるとき、又は当該路面電車に乗降する者がいない場合において当該路面電車の左側に当該路面電車から一・五メートル以上の間隔を保つことができるときは、徐行して当該路面電車の左側を通過することができる。
道路交通法第21条(軌道敷内の通行)
第1項
車両(トロリーバスを除く。以下この条及び次条第一項において同じ。)は、左折し、右折し、横断し、若しくは転回するため軌道敷を横切る場合又は危険防止のためやむを得ない場合を除き、軌道敷内を通行してはならない。
第2項
車両は、次の各号に掲げる場合においては、前項の規定にかかわらず、軌道敷内を通行することができる。この場合において、車両は、路面電車の通行を妨げてはならない。
一 当該道路の左側部分から軌道敷を除いた部分の幅員が当該車両の通行のため十分なものでないとき。二 当該車両が、道路の損壊、道路工事その他の障害のため当該道路の左側部分から軌道敷を除いた部分を通行することができないとき。三 道路標識等により軌道敷内を通行することができることとされている自動車が通行するとき。第3項
軌道敷内を通行する車両は、後方から路面電車が接近してきたときは、当該路面電車の正常な運行に支障を及ぼさないように、すみやかに軌道敷外に出るか、又は当該路面電車から必要な距離を保つようにしなければならない。