任意保険は強制保険と異なり、事故を起こしにくい人は保険料を安く、逆に事故を起こしやすい人は保険料を高く設定することで加入者間の保険料のバランスを調整してできるだけ公平になるようにしています。これには様々な方法が導入されていますが、いずれも運転技術を推測するものに過ぎませんでした。
しかし、最近では記名被保険者自身の運転技術を評価して保険料に反映させるという保険を導入している保険会社があります。この保険をテレマティクス保険と言います。
従来の保険料算定方法は推測に過ぎない
従来から、運転技術を保険料に反映させる方法はいくつも導入されてきました。代表的なものはノンフリート等級と年齢条件です。そのほか、ゴールド免許割引や無事故割引等がこれに当たります。
これらの制度は記名被保険者個人の運転技術を事故や違反歴から推測するものに過ぎません。例えば、ノンフリート等級20等級でも、それはあくまでも過去の実績から現在の運転技術を推測しているにすぎず、現在の運転技術がどの程度なのかはわかりません。
運転免許はもっと極端です。例えばゴールド免許の1年目に事故を起こしても、その後4年間は事故を起こしているのにゴールドのままですし、次の免許でブルー5年となると、そのブルー免許の更新直前では9年無事故無違反でもブルー免許です。
年齢条件に至っては、言い方は悪いかもしれませんが、若い人にとっては差別同然でしょう。どれだけ運転がうまくても年齢が若いというだけで保険料が高くなるのは理不尽に感じる人もいるでしょう。
このように、従来の運転技術の推測方法はかなり雑なものと言えます。
テレマティクス保険の魅力
しかし、個々の運転技術を直接保険料に反映するシステムであれば、今までと比べて公平な保険料を実現することができることになります。(ただし、言い換えれば、運転に自信のない人には今後厳しくなっていくということもできます。)
このような運転情報をリアルタイムで保険会社に送信し、その評価によって保険料が上下する保険のことをテレマティクス保険と言います。日本ではまだマイナーですが、欧米では徐々に普及し始めています。
事故防止・燃費向上も期待できる
テレマティクス保険には保険料以外事故防止や燃費向上という利点があります。
テレマティクス保険では、事故が起こりにくい安全運転をしていることを高評価しますが、具体的には急発進や急ブレーキの有無等が評価対象となります。誰でも保険料は安くしたいですから、評価が上がるように運転します。そのような運転は必然的に安全運転で事故防止につながりますし、燃費も向上します。
運送会社では、デジタルタコグラフやドライブレコーダーの普及によって、運転状況が詳細に管理されるようになってから、事故が減り燃費が向上したという報告が少なくありません。テレマティクス保険を導入することによって、個人でも同じような効果が期待できるでしょう。
テレマティクス保険を導入している保険会社
2017年3月現在、チューリッヒ損害保険、ソニー損害保険が導入しています。また、大手代理店型損保では、あいおいニッセイ同和損害保険が2017年度に導入する予定です。