世の中には、任意保険の他、火災保険や生命保険、医療保険等様々な保険が販売されています。ここでは、そもそも保険というものがなぜ存在するのか、なぜ保険に入る必要があるのかを説明します。
保険の目的は相互扶助
大きな交通事故や火災のような、不幸な事故はめったに起こりません。一生のうち一度も経験しない人の方が多いでしょう。
しかし、一度でもそのような事故を起こってしまうと、命の危険があるのはもちろんですが、被害者への賠償や治療費、家を建て直す費用等で何千万円ものお金が必要となってきます。
一家の大黒柱が病気で死んでしまった場合も同じです。健康に働いている人でも、突然の事故や病気で亡くなってしまうことがあります。こうなってしまうと、収入がなくなり残された家族の生活が難しくなってしまい、やはり多額のお金が必要になってきます。
このように、発生する可能性は低いけど、一度でも発生すると大きな損害が生じてしまう場合には、多くの人から生活に差し支えない程度のお金を集めて、必要になった人に支払うことで、お互いを助け合うのがとても効果的です。これを相互扶助と言います。
この相互扶助が保険の基本的な考え方です。損害保険・生命保険にかかわらず、保険の目的は相互扶助です。
多くの人から少しずつ集めるお金を保険料と言い、不幸に遭った人に支払われるお金を保険金と言います。保険料と保険金は混同している人が多いですが、全く意味が違いますので覚えておいてください。
加入者間の平等
保険の目的が相互扶助であるなら、保険料は加入者同士が平等である必要があります。そのため、保険会社は様々な条件を設定し、その設定内容ごとに異なる保険料を設定しています。
例えば、任意保険では運転する人の年齢や車種によって保険料が異なります。年齢や車種によって事故のリスクが異なるためです。
年が若い人は運転技術が未熟な場合が多く、事故が多く保険金が支払われることも増えます。車の種類によっても、車両価格や運転のしやすさ、事故発生率などで支払われる保険金の額が変わってきます。
生命保険や火災保険でも同様です。リスクが大きければ保険金の支払いも多くなりますから、それに伴って保険料は高くなります。逆にリスクが低ければ、保険金の支払いが少なくなりますから、保険料は安くなります。
このような条件の違いを全く考えずに全員に同じ保険料を設定してしまうと、保険事故のリスクの大きい人の方がリスクの少ない人より得をすることになっり、不公平となってしまいます。
このバランスを保険料で調整しているのです。保険金を多く受け取るグループの加入者は保険料が高くなり、逆に保険金を少なく受け取るグループは保険料が安くなります。
保険の実情
以上が、保険の本来の意義ですが、現代社会における実情はこれとは異なると言わざるを得ません。
現代の保険会社は営利目的で運営されています。(生命保険の相互会社は表向きは営利目的ではありませんが、事実上営利目的です。) そのため、相互扶助の精神より先に保険会社の利益確保が優先されてしまう状況にあります。
保険に加入する際は、自分がその保険に加入することで、保険本来の目的が達成できるかという点だけでなく、保険会社の実情についても留意しておく必要があります。