地震・噴火・津波車両全損時一時金特約を付帯していれば、地震・噴火・津波による車両が全損した場合に一時金を受け取ることができます。車両保険では、地震や津波、噴火といった大規模な災害による損失は補償対象外となっているため、これらの災害による損害を補償するにはこの特約を付帯する必要があります。
車両保険の保険料は、車両に生じる様々なリスクを考慮して算定されますが、この算定には地震等の大規模な災害での損害は想定されていないためです。
補償額は50万円が限度
この特約は車両保険の満額が支払われるわけではなく、車両が全損した場合に限り、最大50万円が支払われます。ただし、車両保険金額が50万円未満の場合は、車両保険金額が上限となります。
東日本大震災以降に登場した特約
かつては、地震・津波・噴火でも、車両保険満額が支払われる特約が存在しました。しかし、2011年の東日本大震災での大規模な津波被害の発生で、これまで考えられてきた保険料収入と支払保険金のバランスが一気に崩れてしまいました。採算が合わなくなった損害保険会社は相次いでこの特約の販売を停止しました。
その後形を変えて登場したのが、この地震・噴火・津波車両全損時一時金特約です。補償金額の上限を設定することで、収支を調整したというわけです。
必要性は地震保険の考え方と同じ
この特約の必要性のポイントは、上限金額の50万円をどう考えるかということでしょう。他の任意保険の特約とは違って、津波等の大規模災害が発生した時のことを想定する必要があります。この点自動車保険の補償としてはかなり異質な特約であると言えます。
もし津波で車が流されたとしたら、おそらくは家も津波による被害が発生しているでしょう。となると、日常生活を立て直すための資金が必要になってきます。このような場合にすぐに支払われる50万円の現金は、人によってはありがたいものです。火災保険に付帯する地震保険と同じ考え方です。
現在の貯蓄、大規模災害での当面の必要費用の見積もり、地震保険の加入の有無と支払額と50万円を使いでもらえることのバランスを考えて加入を検討することをおすすめします。