運行供用者が自賠責を請求できる場合1(車外にいる所有者)

事故の死傷者であれば誰でも損害賠償を請求できるわけではありません。損害賠償請求の要件に「他人」であることがあります。他人とは運転者と運行供用者以外の人を指すため、運行供用者は損害賠償を請求できる立場にありません。しかし、ここで紹介する判例は、運行供用者でも「他人」となる場合があることを示しました。

最高裁判決昭和50年11月4日民集29巻10号1501頁

事例

同族会社Xの従業員のBは、Xの所有する自動車を運転し、助手席には取締役のAを同乗させていたところ、Bの過失により交通事故が発生し、Aが負傷した。Xは保険会社Yに対して自賠責保険金の支払いを請求したが、Yは、Aが運行供用者責任を追及可能な「他人」の立場にないとして支払いに応じなかった。

判決

自動車の所有者が自賠法3条に基づく損害賠償責任を負うのは、自動車の運行によって「他人」の生命・身体を侵害した場合に限られ、「他人」とは、運転者本人と運行供用者を除く者を指すとの原則を示した。また、Aと共にXも運行供用者責任を負う立場にあるとした。その上で、Aは自動車の運行について直接的、顕在的、具体的に支配する立場にあり、Xの間接的、潜在的、抽象的な責任と比べて強いものであるから、「他人」性を主張することは許されないとした。

解説

判例は従来、損害賠償請求権者は「他人」である必要があり、また、「他人」とは運行供用者と運転者以外の者としてきました。この判例では、それを踏襲しつつも、複数の運行供用者が存在する場合には、運行供用者も「他人」となる場合があり得ることを示唆強いているものと考えられます。

もっとも、この判決では結論としてはAの他人性が否定されています。そのような判断を行った理由として示されたのが、運行支配に対するAの「直接的、顕在的、具体的」と、Xの「間接的、潜在的、抽象的」との比較でした。

ただし、このような判断基準が将来的な事件において、他人性判断の要件として機能するかどうかには疑問の余地があるとされています。(学陽書房 「交通事故判例140」p.21)

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