さ自賠責保険は、被害者救済のために被害者の死亡や傷害・後遺障害と言った身体に対する損害のみを保障する制度です。そのため、物に生じた損害は自賠責保険では保障されないのが原則です。
しかし、例外的に物損事故でも自賠責保険で保障される場合があります。
身体の機能を補完する物に対する損害は自賠責の保障対象
自賠責保険では、身体に対する傷害や死亡による損害のみが保障されます。ここで言う「身体」とは生身の体そのものだけを言うのではなく、「身体の機能を補完する物」も含まれます。「身体の機能を補完する物」については、人の体の一部と見なされているのです。
「身体の機能を補完する物」は、物としての価値ではなく、生身の体と同じで事実上身体の一部としての価値があるためです。
そのため、身体の機能を補完する物に損害が発生した場合は、人身傷害が発生したと見なすことになり、自賠責保険による保障がなされるということになります。
なお、同じ理由で「身体の機能を補完する物」に対する損害は、任意保険の対人賠償責任保険でも補償されます。
身体の機能を補完する物で一番身近なのは眼鏡です。この他、身体障碍者の使う義足や車椅子、補聴器等が保障の対象となります。
保障される金額は通常の物損事故と同じ考え方で、実損額が支払われることとなっています。ただし、通常の物損事故では、古い物ほど減価されていきますが、眼鏡のように少額の場合は新価で補償されるのが実務での取り扱いとなっています。