自転車は道路交通法上定められた軽車両に該当します。したがって、自転車運転中の事故で人を死傷させた場合は重い責任が問われます。最近では自転車事故で高額な損害賠償責任を負うケースが多くなっています。
「自転車保険」について
危険な運転をする人が多くなっていることが高額賠償の主な原因ですが、高齢化社会によって被害者となる歩行者が高齢者であることが増えており、怪我をしやすいことも要因の一つと考えられます。
高額賠償のケースが増加し、世間での注目も集まったことから、各損害保険会社は自転車事故に特化した自転車保険を販売するようになっています。自転車保険では、被害者に対する賠償金を補償する賠償責任保険だけでなく、本人の怪我や後遺障害を補償する傷害補償保険も付帯されています。
自転車保険では、この傷害補償保険部分がクセモノです。普通自転車で走行中転倒しても、大した怪我はしません。車とぶつかったら相手の自動車保険で補償されますし、傷害補償まで必要な人はかなり限られています。また、自動車保険の人身傷害補償保険を車外補償型で掛けていれば、自転車保険の傷害部分は重複保険となってしまい保険料の無駄です。
自転車保険以外でも自転車事故の補償は可能
自動車保険や火災保険を掛けていれば、個人賠償責任特約を付帯することができる場合があります。この特約を付帯にすれば、自転車事故での被害者に対する賠償責任も補償することができます。
また、クレジットカードにも個人賠償責任保険が自動付帯されている場合がありますので、確認してみてください。
さらに、任意保険の人身傷害補償保険で車外出の事故も補償していれば、自転車運転中の自分の怪我や後遺障害の補償を受けることができます。
このように、自転車保険に加入していなくても、自転車保険と同様の補償を受けることができる場合は多くあります。自転車に乗るからと言って短絡的に自転車保険に加入する必要はありません。自分の加入する補償内容をよく理解して無駄のない保険を掛けることをおすすめします。
「自転車保険」の義務化
2016年12月現在、滋賀県、大阪府、兵庫県の3府県で自転車保険の付帯が義務化されています。今後この動きは拡大していくと思われます。
対象となるのは滋賀県、大阪府、兵庫保険の全域を走行する自転車で、運転者の居住地は関係ありませんので注意してください。
ここで言う自転車保険とは、「自転車保険」という名称の保険ではなく、自転車事故が補償に含まれた賠償責任保険です。任意保険等の個人賠責特約の付帯でも問題ありません。
滅多なことで高額賠償は発生しない
普段から自転車を運転する人の中には、高額賠償事例のニュースを聞くたびに戦々恐々としている方もいるかもしれません。しかし、高額賠償が発生しているケースは極めて悪質な運転でばかりです。例えば、全くノーブレーキで高速のまま交差点に進入したというようなケースがありますが、もしこれが自動車ならば危険運転致死傷罪に問われかねないと考えられます。
普通に運転していれば、このような事故は発生しません。お子さんがいらっしゃる場合も、しっかりと安全運転するように教育していれば、ほとんどこのような事故は発生しないと考えられます。