交通事故で被害者になってしまうと、加害者から損害賠償を受け取ることになりますが、加害者が自賠責保険に加入していない場合は全く保険金を受け取れないのでしょうか。
強制でも加入していない人は多い
自賠責保険は加入しなければ刑罰が科される強制保険ですが、残念ながら加入していない違法なドライバーが少なくありません。地域差も多少はありますが、青年誌で加入を促す広告を見ることも多いことから特に若い年代の人に多いようです。
4輪自動車の場合は車検期間に合わせて自賠責も付帯しますので、大抵の車には付帯されているのですが、車検のない原付では自賠責保険に加入していない違法な車両が全体の30%あると言われています。
このような無保険ドライバーが加害者となる事故では、被害者は自賠責保険による補償を受けることができません。また、加害者が自賠責保険に加入していたとしても、ひき逃げや当て逃げ等で加害者が行方不明となってしまった場合にも補償を受けることができません。
政府保障事業による保障制度
自賠責保険は被害者を救済するための制度であるにも関わらず、このように加害者が自賠責保険に加入していないとか、行方不明であると言った事情で補償されないというのは、被害者からしてみれば酷な話です。
そのため政府は、自賠責保険とは別に、自動車損害賠償保障事業という制度を設けています。これによって、被害者に対して自賠責保険と同額の保障がなされます。つまり、被害者は加害者の自賠責加入の有無や相手方の行方に関わらず、同じ保障を受けることができるということになります。
このように被害者にとっては、加害者が自賠責保険に加入していようが加入していまいが大きな影響はありません。
これに対して、加害者が自賠責に加入していた場合としていなかった場合では大きく状況が異なります。加害者が自賠責保険に加入していれば、何ら問題はありません。
任意保険のようなノンフリート等級制度もありませんから、等級ダウンによって保険料が上がるということもありません。
しかし、加害者が自賠責保険に加入していなかった場合は、政府保障事業から損害金の求償を求められます。これは任意保険未加入の場合に被害者から直接賠償請求されるのと同じことで、必ず自分自身で支払わなければなりません。その金額は最大で自賠責保険の上限額と同額の4000万円となります。
どこの保険会社に対しても保障を請求できる
自賠責保険で被害者請求をする場合は、加害者が自賠責保険に加入する損害保険会社に請求しますが、政府保障事業の場合は、相手方の加入する保険会社が存在しないですから、どこの損害保険会社に対してでも請求することができます。
相手が不明の場合は、相手が加入する保険会社ももちろん不明ですから、この場合もどこの損害保険会社に対しても請求することができます。