主婦で賃金センサスと実収入の合算と同額を認めた判例

被害者が死亡した場合や後遺障害を負った場合は逸失利益が発生しますが、専業主婦であれば賃金センサスの女子労働者学歴計平均賃金により逸失利益を算定し、兼業主婦であれば実際の収入額から逸失利益を算定するのが原則です。しかし、ある条件の下では逸失利益を平均賃金と実収入額を合算した額とすることが認められています。

兼業主婦の収入額

兼業主婦と一言で言っても、少しでも家計の足しにするために週一で働いている人もいれば、正社員としてバリバリ働いている人もいて、その収入額には大きな開きがあります。そのため、極端に実収入額が少ない場合の逸失利益は、専業主婦の場合と同じく女子労働者学歴計平均賃金を使って算定し、実収入分は算定の際には無視するという扱いが実務では基本です。これは、最高裁が実収入と平均賃金の合算を否定したためです。

合算した額に近い金額を認めた判例

しかし、神戸地裁平成12年9月26日判決(交民33巻5号1555頁)は、パート収入が55万2000円の主婦の後遺障害の算定について次のように判断しました。

賃金センサス女子労働者学歴計全年齢平均賃金341万7900円にパート収入を合算しても396万9900円となり、それは被害者の年齢の年齢別平均賃金389万9100円とほぼ等しい額であるから、年齢別平均賃金を算定基準とすべきである。

判決のポイント

先にも書いたように、無条件に平均賃金と実収入を合算することは最高裁は認めていません。しかし、判決は、実務が少額の実収入を無視している現状を批判し、できるだけ実情に沿った損害額を算出できるように工夫をしています。被害者の年齢から考えると全年齢平均賃金によるよりは年齢別平均賃金による方が妥当であると考えられ、その金額に近づけるために実収入額に注目したのだと考えられます。

つまりこの判決は、実収入が低い場合にはその額が一律に平均賃金に合算されることを認めたものではなく、損害額を増加させるための一つの方法として実収入を利用したものと評価することができます。

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