運行供用者が自賠責を請求できる場合3(運転代行利用の場合)

自動車に同乗している運行供用者は、原則として自賠法3条の「他人」に該当しません。しかし、ここで紹介する判例は、運転代行を利用していた場合に、代行業者が起こした事故で死傷した場合には他人性が認められるとして、損害賠償を認めました。

最高裁判所判決平成9年10月31日民集51巻9号3962号、判時1623号80頁、判タ959号156頁

事例

A会社の従業員Xは、A所有の事業者を業務だけでなく通勤や私用にも使うことが許されていた。Xはその自動車で居酒屋に行き飲酒した後、帰宅するために運転代行業者Bを呼んだ。Xは、Bの従業員Cが運転する自動車に乗車して帰宅する途中、Cの起こした交通事故により後遺障害を負った。Xは自動車が加入する保険会社に対して自賠法3条に基づく損害賠償を請求した。これに対して、Xは自動車の運行を管理・支配する立場にある運行供用者であり、「他人」に当たらないため損害賠償の請求は許されないと主張した。

判決

Xは飲酒によって自らが運転することが不可能な状態にあったため運転代行を業者に依頼したものであり、代行業者BはXを目的地まで安全に送り届ける義務を負っていたものと認められる。このような状況から見れば、自動車の運行による事故を防止する中心的な責任はBが負うことになり、Xの運行支配はBと比べて間接的、補助的なものにとどまっていたとしてXの他人性を認めた。

解説

この判決は、基本的に運行供用者が自賠責を請求できる場合1(車外にいる所有者)で紹介した判例を踏襲したものです。一方で、所有者が同乗していた運行供用者が自賠責を請求できる場合2(車内にいる所有者)とは異なる判断を下したと言えます。

事例の類型から考えれば、運行供用者の立場にある人が乗車しているという点で、後者の方が近いですが、結論としては本判決とは逆になってしまいました。この違いは、単に個人的な事情で運転を変わったに過ぎない場合と業務として運転代行を行う者との責任の重さの違いであると考えられます。

ただし、運転代行の有償性にその違いを認めるのか、Xが酒に酔っていたことに認めるのか、といった点は明確なものとは言えません。

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