被害者が児童の場合の過失相殺

交通事故等で他人に被害を与えた場合は加害者は不法行為責任を負いますが、加害者が幼い児童であれば、責任を負わない場合があります。

一方で、被害者側に何らかの過失があれば過失相殺がなされます。ここで紹介する判例は、過失相殺については、不法行為の場合とは異なり、加害者としての責任能力がない児童でも、事理弁識能力があれば過失相殺の対象となるとしたものです。

最高裁判決昭和39年6月24日民集18巻5号854頁、判時376号10頁、判タ166号105頁

事例

満8歳の小学生男児AとBは自転車を二人乗りして交差点を通行していたところ、走行していた自動車と衝突して死亡した。ABの親は加害者に対して不法行為に基づく損害賠償を請求したが、原審ではAとBに事理弁識能力があったとして過失相殺を認定したが、親らは過失相殺は不当であるとして上告した。

判決

過失相殺の問題は、不法行為者に積極的に損害賠償責任を負わせる問題とは趣旨が異なり、公平の見地から被害者の不注意を斟酌するに過ぎないから、不法行為責任における責任能力がなかったとしても、事理弁識能力が備わっていれば、過失相殺は可能であるとした。
そのうえで、本件児童は少額2年生であり、学校や家庭で交通安全に対する教育を受けていたから交通の危険に対する事理弁識能力が備わっていたと判断し、過失相殺を認めた。

過失相殺能力の有無がポイント

この判例では、不法行為能力がなければ過失相殺はできないのか、というのが争点となりました。これを言いかえると、不法行為能力とは別に過失相殺能力というものが存在するのか、ということになります。

結論として判例は、過失相殺能力の存在を認めました。そしてその理由が、不法行為というものが賠償金の支払いを求めるものであるのに対して、過失相殺はもらえる金額が減額されるに過ぎないものであるから、その基準についても差を設けるべきだ、ということです。

過失相殺能力というものが認められるとなると、次に問題となるのはその判断基準です。

この判例では、死亡した児童が小学2年生のは8歳であったことを挙げて、学校や親からの教育で交通の危険に対する認識を持っていたはずだとして、過失相殺能力を認めました。ただし、では何歳であれば過失相殺能力が否定されるのかという基準は明確にはされていません。

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