公道で交通事故を起こしてしまった場合、それによって人が死傷すれば、過失運転致死傷や危険運転致死傷罪に問われる可能性があります。
では、サーキットで行われるF1レースやダートトライアル等でレーサーが運転を誤って事故を起こし、その結果人を死傷させてしまった場合、公道と同じように何らかの罪に問われるのでしょうか。
罪に問われる可能性はある
もともと自動車レースで走るということは、危険を伴うことは承知の上でのやっていることなのだから、罪にはならないように思えるかもしれません。しかし、やはりそれにも限度があります。
たしかに、レース中は人身事故が発生するリスクが公道でのリスクをはるかに上回ります。しかし、レースにも全くルールがないわけではありません。公道での走行は道路交通法で定められているように、F1にはF1の、ダートトライアルにはダートトライアルのルールが定められています。
競技ルールを逸脱したかどうかがポイント
このルールを大きく逸脱するような事故を起こし、その結果人を死傷させた場合は、過失運転致死傷罪や、場合によっては危険運転致死傷罪にあたる可能性があります。
例えば、F1レースでは、タイヤ交換や給油等の車両整備をするためにコースアウトすることがあり、これをピットインと言いますが、その際には時速80kmの制限速度が課されています。これをオーバーするとレースでのペナルティがあるのはもちろんですが、もし速度オーバーで事故を起こした場合は、刑事責任を追及される可能性があるのです。
なお、以上の話はプロのレーサーに限った話ではなく、アマチュアが自車をサーキット場に持ち込んで走らせる場合も該当します。サーキットでの走行も主催者の定めるルールに従って安全運転する必要があると言えます。