和解と示談の違いをご存知でしょうか。和解というと裁判用語で、示談というと交通事故用語という漠然としたイメージをお持ちの方が多いようです。いざという時のため正確な知識を定着させておきましょう。
なお、和解は後から争うことができないが、示談は後から争うことができる、という説明をしているサイトがあります。しかし、この説明は厳密には間違っています。
示談は私法上の和解の一種
和解は法律用語で、私法上の和解と裁判上の和解の2つがあります。
私法上の和解とは、互いに譲歩することで紛争を解決することを言います。私法上の和解は法律上の契約に当たりますから、これがなされると、原則として後から蒸し返すことはできません。
裁判上の和解は、裁判の過程でなされる紛争の解決の合意で、判決があったのと同じ効果があります。
これに対して示談とは法律用語ではなく、一般に交通事故等で紛争が生じた場合に、具体的にどちらがどのような損害を負担するのかを協議することを言います。したがって、示談は私法上の和解の一種であるということができます。
示談も和解の一種ですから、一度示談に応じてしまうと後から蒸し返すことはできません。
和解が例外的に無効となる場合
和解がされたら原則として蒸し返しは許されませんが、例外的に無効となる場合があります。
それは、和解の前提となる事実に誤りがあった場合です。具体的に言えば、交通事故で和解成立後に事故を原因とする後遺障害が発生した場合等がこれに当たります。
和解の時点では後遺障害のことは全く話し合われていなかったのですから、当然、後遺障害については示談をやり直す必要があります。
なお、任意保険に加入していれば、示談は保険会社が代行してくれます。さらに、弁護士費用特約を付帯していれば、無償で弁護士に示談を任せることも可能です。