緊急車両に関する知識

救急車や消防車等の緊急車両は、赤信号でも走ることができるのはよく知られていることですが、具体的にどのようなことができるのか、緊急車両を見たらどうすればいいのか、あまり知られていない緊急車両に関するルール等、緊急車両に関する様々な知識を紹介します。

緊急車両の種類

緊急車両は、消防車や救急車、パトカーがよく知られていますが、それ以外の公共機関や民間企業も緊急車両を保有しています。

  • ガス・電力・鉄道等のインフラ関係の企業
  • 自衛隊車両
  • 地方公共団体の車両

民間企業で代表的なのが東京電力・関西電力等の電力会社や東京ガス・大阪ガス等のガス会社の緊急車両です。火災の原因が電気やガスの場合等に現場に急行する必要があるためです。この他、鉄道会社、自衛隊、地方公共団体の緊急車両なども存在します。

緊急車両の目的は自動車の種類によって様々ですが、現場急行の必要性が高い車両に広く認められています。

緊急車両の法定速度とその例外

緊急車両は赤信号で進行することができますから、法律の制限が一切解除されていると誤解する人も多くいるようです。しかし、実際は規制が若干緩和されているだけで、その規制に違反して運行することは認められていません。

例えば緊急車両にも法定速度があります。これをオーバーすると処罰の対象となることは一般ドライバーと何ら変わりありません。緊急車両の制限速度は次の通りです。

  • 一般道路:  80km/h
  • 高速道路:100km/h

ただし、交通取締で違反車両を追跡する必要がある場合は、例外的に違反車両と同等の速度で走行することができます。あくまでも停止を促すための措置で、映画さながらのカーチェイスは危険ですので、法が明確に許しているわけではありません。

制限速度以外にも様々な義務があり、例えば、赤信号や一時停止が必要な場所を通行する際は、徐行して安全を確認する義務があります。現場に急行することは緊急車両にとって有益なことですが、だからといって交通秩序を無制限に乱すことは許されないのです。

緊急車両のその他の特例

制限速度が緩和されている以外にも、緊急車両には様々な特例があります。下記はその一例です。

  • 停止が必要な場所は徐行して走行可能
  • 進入禁止場所、安全地帯、歩道等の通行が可能
  • Uターン禁止の免除
  • 進路変更禁止の免除
  • 追越禁止の免除
  • 横断歩道前の徐行義務の免除

まず、赤信号等、本来車両が停止しなければならない場所であっても通行することができます。もっとも、非常に危険なことですので、必ず徐行しなければなりません。救急車等が赤信号交差点を横切るときは必ず徐行しているはずですので、今度から注意して見てみてください。

一方通行や安全地帯等、歩道等も必要に応じて通行したり横切ったりすることができます。例えば、道幅が狭く、他の車両が端に寄っても歩道まではみ出さないと通行できない場合があります。

横断歩道ではそばに人がいる場合、一般車両は徐行する必要がありますが、緊急車両はその義務が免除されています。車対歩行者では、歩行者が絶対優先ですが、その例外となっていますので、歩行時には注意する必要があります。

緊急車両を見たときの対処法

サイレンを鳴らして走っている緊急車両を見かけたら取るべき行動に違いはありません。赤色回転灯(パトライト)を光らせてサイレンを鳴らしていたら、救急車だろうと東京ガスの車両であろうと全て扱いは同じです。

歩行者の対応方法

道路を歩いているときにサイレンの音が聞こえたら、どこから聞こえてくるのか、近づいているのか遠ざかっているのかに注意を払うようにしましょう。

歩いているのが歩道上なら全く問題ありませんが、緊急車両が交差点を横断することがありますから、近付いてきたら道路の横断は一時中断してください。

筆者の個人的な印象ですが、緊急車両の走行妨害は自動車よりも歩行者に多いです。特に緊急車両が直進するものだと思い込んで交差点を横断する歩行者が目立ちます。このような場合、もし緊急車両が右折・左折してきたら進路を妨害することになります。

自動車と比べて歩行者は優先意識が高いことや、普段運転することがないなど、そもそも緊急車両のサイレンにあまり敏感でない人がいることが原因だと思われます。

自動車の対応方法

自動車の場合、後ろから緊急車両が近づいて来たら、車線を変更するか、道路の左端に避けて一時停止してください。

交差点では青信号であっても進入は中断して、緊急車両が通過するまで一時停止してください。

対向車線を緊急車両が走行している場合は、対向車線の状況によっては緊急車両がはみ出して逆走してくる可能性がありますから、一時停止するか、すぐに停止できる速度で徐行するなどの対応を取ってください。

しかし、運転技術が未熟な場合等はあまり無理をして進路をあけようとせず、自分にできる範囲で回避行動を取ることが大切です。

youtube等の動画サイトで、救急車等の進路を妨害した自動車を批判するような動画が晒されていることがありますが、無理をする必要はありませんしするべきでもありません。緊急車両の走行で最も怖いのは走行妨害による遅れではなく二次災害の発生です。

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