追越しは、危険なのであまり推奨される行為ではありませんが、一定の条件の下で許されています。ここでは、追越しに関する違反、「追越し違反」「追い付かれた車両の義務違反」の内容と罰則、違反点数を紹介します。これらの違反はいずれも交通反則通告制度の対象となる青切符の違反です。
違反名称 | 違反点数 | 反則金 |
---|---|---|
追越し違反 | 2点 | 9,000円 |
追い付かれた車両の義務違反 | 1点 | 6,000円 |
追越し違反
追越しは道路交通法上許されている行為ですが、危険で難しいため、多くの規制がなされています。以下のいずれかに該当する場合に追越しをすると追越し違反となります。(道路交通法第28条、29条、30条)
- 追い越そうとする自動車の左側から追い越そうとした場合(右折車両の追越しを除く)
- 追い越そうとする路面電車の右側から追い越そうとした場合
- 前方・後方車両や対向車線の車両に配慮せず追い越そうとした場合
- 後続車が自分を追い越そうとしているのに、追越しを開始した場合
- 追越し禁止場所で追い越そうとした場合
このように、追越しには多くの規制が掛けられています。追越しは必要最小限にとどめるようにしましょう。
路面電車については、通常道路の中央側を走行していますから、追い越す場合は自動車の場合とは逆で左側を通過する必要があります。
追越し禁止場所とは次の場所を言います。
- 道路の曲がり角付近
- 上り坂の頂上付近
- 勾配の急な下り坂
- トンネル(車両通行帯がある場合を除く)
- 交差点(優先道路を除く)
- 踏切
- 横断歩道・自転車横断帯と、その手前30m以内
追い付かれた車両の義務違反
追越しについては、追い越そうとする車両だけでなく、追い越される側にも義務が課せられます。追越しが危険な行為である以上、追い越される側もできるだけ追越しがスムーズに行われる必要があるためです。具体的には次の行為をしないと違反になります。
- 後方車両が追い越そうとしているときは、自車は加速しないこと
- 後方車両が追い越そうとしたときは、できるだけ左側に寄ること
参考条文
道路交通法第27条(他の車両に追いつかれた車両の義務)
第1項
車両(道路運送法第九条第一項 に規定する一般乗合旅客自動車運送事業者による同法第五条第一項第三号 に規定する路線定期運行又は同法第三条第二号 に掲げる特定旅客自動車運送事業の用に供する自動車(以下「乗合自動車」という。)及びトロリーバスを除く。)は、第二十二条第一項の規定に基づく政令で定める最高速度(以下この条において「最高速度」という。)が高い車両に追いつかれたときは、その追いついた車両が当該車両の追越しを終わるまで速度を増してはならない。最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ、かつ、その追いついた車両の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとするときも、同様とする。
第2項
車両(乗合自動車及びトロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、最高速度が高い車両に追いつかれ、かつ、道路の中央(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路の右側端。以下この項において同じ。)との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合においては、第十八条第一項の規定にかかわらず、できる限り道路の左側端に寄つてこれに進路を譲らなければならない。最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ、かつ、道路の中央との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合において、その追いついた車両の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとするときも、同様とする。
第28条(追越しの方法)
第1項
車両は、他の車両を追い越そうとするときは、その追い越されようとする車両(以下この節において「前車」という。)の右側を通行しなければならない。
第2項
車両は、他の車両を追い越そうとする場合において、前車が第二十五条第二項又は第三十四条第二項若しくは第四項の規定により道路の中央又は右側端に寄つて通行しているときは、前項の規定にかかわらず、その左側を通行しなければならない。
第3項
車両は、路面電車を追い越そうとするときは、当該車両が追いついた路面電車の左側を通行しなければならない。ただし、軌道が道路の左側端に寄つて設けられているときは、この限りでない。
第4項
前三項の場合においては、追越しをしようとする車両(次条において「後車」という。)は、反対の方向又は後方からの交通及び前車又は路面電車の前方の交通にも十分に注意し、かつ、前車又は路面電車の速度及び進路並びに道路の状況に応じて、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。
第29条(追越しを禁止する場合)
後車は、前車が他の自動車又はトロリーバスを追い越そうとしているときは、追越しを始めてはならない。
第30条(追越しを禁止する場所)
車両は、道路標識等により追越しが禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、他の車両(軽車両を除く。)を追い越すため、進路を変更し、又は前車の側方を通過してはならない。
第1号
道路のまがりかど附近、上り坂の頂上附近又は勾配の急な下り坂
第2号
トンネル(車両通行帯の設けられた道路以外の道路の部分に限る。)
第3号
交差点(当該車両が第三十六条第二項に規定する優先道路を通行している場合における当該優先道路にある交差点を除く。)、踏切、横断歩道又は自転車横断帯及びこれらの手前の側端から前に三十メートル以内の部分