自動車の事故を補償する任意制度には、損害保険会社が扱う自動車保険と、JA共済や全労済等の相互扶助を目的とした団体が扱う自動車共済があります。
任意保険の対人賠償責任保険の加入率が75%程度なのに対して、任意共済の加入率は15%程度となっており、任意保険の方が加入率がかなり高いことがわかります。
目次
任意保険と任意共済の違いと注意点
基本的に任意保険も任意共済も補償内容は同じですが、一般的に次のような違いが見られる傾向にあります。
1.任意共済の方が掛金(保険料)が安い?
任意保険は損害保険会社による営利活動であり誰でも加入できますが、任意共済は運営団体組合員の相互扶助を目的としているため、非営利目的となっています。そのため、任意保険と比べて任意共済は割安であるとされています。
とは言っても、これは代理店型任意保険との比較の話です。ダイレクト型任意保険であれば共済より安く済む場合もあります。それと非営利目的とは言ってもそれは運営団体の存在意義の話であって、共済に加入すれば運営団体が利益を得るというのは保険会社と何も変わりません。
2.プランの自由度は任意保険の方が上
反面デメリットとしては、プラン設計の自由度が少ないという点があります。
補償内容をしっかり理解して、自分が最適だと思う条件と一致した場合には共済を選ぶというやり方も一つの戦略と言えます。
3.任意共済は経営破綻しても補償されない
任意共済では、運営母体の共済団体が経営破綻しても、補償を受けることができません。これは共済だけが持つリスクです。
JA共済等の大規模な団体ならほとんど心配いらないでしょうが、規模の小さい共済の場合は経営破綻にも注意する必要があります。任意保険では保険会社が倒産しても、損害保険会社が拠出する損害保険契約者保護機構から補償が受けられますが、共済が破綻してもこの機構の補償は受けられません。
正直言って大したリスクとは言えませんが、一応デメリットと言えるでしょう。
4.保険・共済間では等級の引継ができない場合もある
任意保険と任意共済を切り替える場合には注意が必要です。任意保険では保険会社を乗り換えても等級は引き継がれますが、一部の共済では任意保険の等級が引き継げない場合があります。