路上駐車は道路交通法が定める交通違反の中ではよく知られた者ですが、一言に路上駐車といっても、様々な種類の交通違反が規定されています。ここでは駐車違反の内容と違反点数、罰則を説明します。
目次
駐停車違反の種類
駐停車違反には次の3つの分類の仕方があります。
- 「駐停車違反」と「放置駐車違反」
- 「駐停車禁止場所等」と「駐車禁止場所等」
- 「高齢運転者等専用場所等」に該当するかしないか
以上の2×2×2=8通りの違反があるということになります。
駐停車違反の罰則と違反点数
数は多いですが、いずれも交通反則通告制度の対象となる青切符の違反です。反則金の額は他の違反と比べてやや高額と言えます。
違反名称 | 反則金 | 違反点数 |
---|---|---|
放置駐車違反(駐停車禁止場所等(高齢運転者等専用場所等)) | 20,000円 | 3点 |
放置駐車違反(駐停車禁止場所等) | 18,000円 | |
放置駐車違反(駐車禁止場所等(高齢運転者等専用場所等)) | 17,000円 | 2点 |
放置駐車違反(駐車禁止場所等) | 15,000円 | |
駐停車違反(駐停車禁止場所等(高齢運転者等専用場所等)) | 14,000円 | 2点 |
駐停車違反(駐停車禁止場所等) | 12,000円 | |
駐停車違反(駐車禁止場所等(高齢運転者等専用場所等)) | 12,000円 | 1点 |
駐停車違反(駐車禁止場所等) | 10,000円 |
※反則金の金額は普通車のものです。
放置駐車違反と駐停車違反の違い
放置駐車とは、ドライバーが自動車から離れて直ちに運転できない状態を言います。エンジンをかけているか、ハザードランプを付けているか、といった事情は関係ありません。
つまり、違法駐車を取り締まる警察官や駐車監視員(緑のおじさん)がドライバーが車内やその周辺にいるかどうかを判断して、どちらの違反とするかを判断します。
と、ここまで書くと気が付かれたかもしれませんが、実務上は、現場にドライバーがいる場合はすぐに移動すればおとがめなしの運用がされていますので、現実に機能している違反は放置駐車違反のみということができます。
- 放置駐車:すぐに運転できない状態の場合
- 駐停車 :すぐに運転して車を移動できる場合
高齢運転者等専用場所等
高齢運転者等専用場所等とは、下記のいずれかに該当する高齢運転者等だけが駐停車することができる場所のことです
- 70歳以上のドライバー
- 聴覚障害であることが免許条件となっているドライバー
- 肢体不自由であることが免許条件となっているドライバー
- 妊娠中又は出産後8週間以内のドライバー
これらの条件に該当しないドライバーが専用場所に駐停車すると、通常の違反と比べて反則金が2,000円加算されます。
ただし、条件に当てはまる人でも、警察に届出をして標章が交付されていなければ違反となってしまいますので注意してください。
駐停車禁止場所等と駐車禁止場所等
駐停車禁止場所等と駐車禁止場所等の違いは、駐車だけでなく停車も禁止されている場所か、駐車のみが禁止されているかの違いです。
⇒ 駐車と停車の違い
駐停車禁止場所等
次の場所に駐車または停車した場合は駐停車禁止場所等となります。
- 道路標識で駐停車が禁止されている場所
- 交差点や曲がり角とその前後5m以内の場所
- 横断歩道や自転車横断帯とその前後5m以内の場所
- 安全地帯の左側とその前後10m以内の場所
- バスや路面電車の停留所とその前後10m以内の場所
- 踏切内とその前後10m以内の場所
- 路面電車の軌道敷内
- 坂の頂上付近
- 急な下り坂
- トンネル内
- 高速道路(やむを得ない場合の路側帯での駐停車を除く)
駐車禁止場所等
次の場所に駐車した場合は駐車禁止場所等となります。
- 道路標識で駐車が禁止されている場所
- バス停や駐車場の出入り口やその前後3m以内の場所
- 道路工事の行われている場所とその前後5m以内の場所
- 消化用設備が設置されている場所とその前後5m以内の場所
- 火災報知器が設置されている場所とその前後1m以内の場所
- 道幅が狭く右側に3.5m以上のスペースを確保できない場所
駐停車の方法
駐停車が可能場所でも、正しい方法で駐停車しなければなりません。次の方法で駐停車した場合は違反となります。
- 道路の右側に駐車した場合
- 他の自動車の邪魔になるような駐車をした場合
- 路側帯があるのに路側帯に入らないで駐車した場合
- 道路標識等で指示された駐車方法を守っていない場合
参考条文
道路交通法第44条(停車及び駐車を禁止する場所)
車両は、道路標識等により停車及び駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない。ただし、乗合自動車又はトロリーバスが、その属する運行系統に係る停留所又は停留場において、乗客の乗降のため停車するとき、又は運行時間を調整するため駐車するときは、この限りでない。
一 交差点、横断歩道、自転車横断帯、踏切、軌道敷内、坂の頂上付近、勾配の急な坂又はトンネル二 交差点の側端又は道路のまがりかどから五メートル以内の部分三 横断歩道又は自転車横断帯の前後の側端からそれぞれ前後に五メートル以内の部分四 安全地帯が設けられている道路の当該安全地帯の左側の部分及び当該部分の前後の側端からそれぞれ前後に十メートル以内の部分五 乗合自動車の停留所又はトロリーバス若しくは路面電車の停留場を表示する標示柱又は標示板が設けられている位置から十メートル以内の部分(当該停留所又は停留場に係る運行系統に属する乗合自動車、トロリーバス又は路面電車の運行時間中に限る。)六 踏切の前後の側端からそれぞれ前後に十メートル以内の部分第45条(駐車を禁止する場所)第1項
車両は、道路標識等により駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、駐車してはならない。ただし、公安委員会の定めるところにより警察署長の許可を受けたときは、この限りでない。
一 人の乗降、貨物の積卸し、駐車又は自動車の格納若しくは修理のため道路外に設けられた施設又は場所の道路に接する自動車用の出入口から三メートル以内の部分二 道路工事が行なわれている場合における当該工事区域の側端から五メートル以内の部分三 消防用機械器具の置場若しくは消防用防火水槽の側端又はこれらの道路に接する出入口から五メートル以内の部分四 消火栓、指定消防水利の標識が設けられている位置又は消防用防火水槽の吸水口若しくは吸管投入孔から五メートル以内の部分五 火災報知機から一メートル以内の部分第2項
車両は、第四十七条第二項又は第三項の規定により駐車する場合に当該車両の右側の道路上に三・五メートル(道路標識等により距離が指定されているときは、その距離)以上の余地がないこととなる場所においては、駐車してはならない。ただし、貨物の積卸しを行なう場合で運転者がその車両を離れないとき、若しくは運転者がその車両を離れたが直ちに運転に従事することができる状態にあるとき、又は傷病者の救護のためやむを得ないときは、この限りでない。
第47条(駐車または停車の方法)
第1項
車両は、人の乗降又は貨物の積卸しのため停車するときは、できる限り道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない。
第2項
車両は、駐車するときは、道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない。
第48条(停車又は駐車の方法の特例)
車両は、道路標識等により停車又は駐車の方法が指定されているときは、前条の規定にかかわらず、当該方法によつて停車し、又は駐車しなければならない。
第49条の3(時間制限駐車区間における駐車の方法等)
第2項
車両(前条の規定により指定された道路の区間(次条において「高齢運転者等専用時間制限駐車区間」という。)にあつては、高齢運転者等標章自動車に限る。以下この条、第四十九条の六及び第百十九条の三第一項第二号において同じ。)は、時間制限駐車区間においては、当該駐車につき第四十九条第一項のパーキング・メーターが車両を感知した時又は同項のパーキング・チケット発給設備によりパーキング・チケットの発給を受けた時から、それぞれ道路標識等により表示されている時間を超えて引き続き駐車してはならない。
第3項
車両は、時間制限駐車区間においては、駐車につき道路標識等により指定されている道路の部分及び方法でなければ、駐車してはならない。
第4項
車両の運転者は、時間制限駐車区間において車両を駐車したときは、政令で定めるところにより、第四十九条第一項のパーキング・メーターを直ちに作動させ、又は同項のパーキング・チケット発給設備によりパーキング・チケットの発給を直ちに受けて、これを当該車両が駐車している間(当該パーキング・チケットの発給を受けた時から道路標識等により表示されている時間を経過する時までの間に限る。)、当該車両の前面の見やすい箇所に掲示しなければならない。
第49条の4(高齢運転者等専用時間制限駐車区間における駐車の禁止)
高齢運転者等専用時間制限駐車区間においては、高齢運転者等標章自動車以外の車両は、駐車をしてはならない。
第75条の8第1(停車及び駐車の禁止)
自動車(これにより牽引されるための構造及び装置を有する車両を含む。以下この条において同じ。)は、高速自動車国道等においては、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない。ただし、次の各号のいずれかに掲げる場合においては、この限りでない。
一 駐車の用に供するため区画された場所において停車し、又は駐車するとき。二 故障その他の理由により停車し、又は駐車することがやむを得ない場合において、停車又は駐車のため十分な幅員がある路肩又は路側帯に停車し、又は駐車するとき。三 乗合自動車が、その属する運行系統に係る停留所において、乗客の乗降のため停車し、又は運行時間を調整するため駐車するとき。