交通違反で罰金刑を受けると前科が付く?

交通違反で捕まってしまうと、違反が重大であれば、赤キップが切られ、罰金刑を受けることになってしまいます。

このとき「赤キップは刑事罰だから前科が付く」とよく言われます。確かに犯罪である以上それは間違いではありません。しかし「前科」という言葉のイメージが先行しており、具体的にどのようなデメリットがあるのかはあまり説明されることもありません。

そこで、ここでは前科が付いたことによって具体的にどのようなデメリットが考えられるのかを解説します。

青キップと赤キップ

まず、交通違反における青キップと赤キップの違いを整理しておきましょう。

青キップは、正式には「交通反則切符」と言い、軽微な交通違反者に対して切られる切符です。この切符を切られると、行政処分である反則金を課せられます。

青キップの効果は行政処分のみで、反則金を納付すれば刑事責任が問われることはありません。したがって、いわゆる「前科」が付くことはありません。(納付しなければ刑事訴追されて罰金刑が科される可能性があります。)

これに対して、赤キップ(正式名称「道路交通違反事件迅速処理のための共用書式」)は、重度な交通違反行為者に対して切られる切符のことで、行政処分だけでなく、刑事処分も科されることになります。

このときに切られる切符を「交通切符」と言います。俗に言う赤キップのことです。裁判に進み罰金刑の判決を受けてその刑が確定すると、いわゆる「前科」が付くことになります。

※行政処分の場合は「課す」を使い刑事処分の場合は「科す」を使います。義務を課すか罰を科す科の違いです。

「前科」は法律上存在しない

さて、ここからが本題です。

前科とは過去に犯罪歴があることを言います。しかし、ここが重要なポイントなのですが、「前科」というものが法律上定義付けられているわけではないのです。

つまり厳密に言えば、「犯罪を犯すと前科が付く」というのは正確な表現ではなく、「ある人が過去に犯罪を犯した場合、それを前科と呼ぶ」という「前科」という言葉の意味だけの問題となります。

「前科」というモノがまるで存在するかのように言われていますが、それには国語的な意味以上の実体は存在しないのです。

そう考えると、「犯罪を犯すと前科が付く」と説明するのは何とも滑稽なことに思えてきます。少し難しい言い方をすればトートロジー(同語反復)です。

さて、法律上定義されていないのであれば、法律上不利益に扱うことはできるはずがありません。つまり、交通違反で「前科持ち」になってしまっても、法律上何のデメリットもないのです。

ただし、一部の犯罪歴があると、特定の国家資格を取得できなかったり、選挙権を失う場合があります。もっとも、この場合も個別法で規定されているに過ぎず、「前科」という概念が法律に登場するわけではありません。

また、罰金刑以上の刑に科された場合には市町村が管理する犯罪人名簿に一時的に氏名が記載され、上記の資格や選挙権の不備を確認することがありますが、当然一般私人が見ることはできません。

決して、交通違反を奨励するわけではありませんが、うっかり交通違反で罰金刑を受けてしまったからと言って、前科持ちになってしまったと必要以上に落ち込む必要はないのです。もしあなたが罰金刑を受けたのであれば、その重さを適度に反省し、今後は安全運転を心がけるようにしてください。

履歴書の賞罰欄には記載が必要?

履歴書は書式によっては賞罰欄を記載する箇所があります。ここに交通犯罪の履歴を記載しなければ虚偽記載となってしまうのでしょうか。

結論から言えば、基本的に書く必要はありません。

犯罪歴というのはプライバシーにかかわるものですから、使用者側から特別何か言ってこない限り、開示する必要はありません。犯罪事実が労働力に大きく影響するような特段の事情がない限り、労働者側から積極的に打ち明ける信義則上の義務はありません。

以上は、判例で明言されています。つまり、大抵の職業の場合、自分から交通犯罪について打ち明ける必要はないのです。

ただし、ドライバー等のように、自動車の運転と密接に関わりのある職業に就く場合は、告知する必要がある可能性があります。不安になったら弁護士に相談するようにしてください。少なくとも全く運転とは無縁な業務に就職しようとしている人には影響はないでしょう。

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