個人賠償責任特約は、記名被保険者とその家族が、自動車以外の事故で他人に対する損害賠償責任を負ってしまった場合に補償を受けられる特約です。
法律上の損害賠償責任が発生した場合には、それが人身か物損かに関わらず補償を受けることができます。
なお、任意保険の主契約に本人限定等の運転者限定が付いている場合でも「家族」全員が補償対象となります。補償限度額は無制限とする保険会社が多いです。
自転車保険として使える
自動車事故以外の全ての賠償責任事故が補償範囲なので、広いようにも思えますが、意外に使う機会が少ない特約です。
日常生活で他人に怪我をさせたり、物を壊すという事故はほとんど発生していません。
しかし、家族のどなたかが自転車に乗るというのであれば、念のために付帯しておいた方がいいでしょう。よくニュースになっていますが、自転車事故による高額賠償事例が増加しているためです。
この他、大型犬を飼っている家庭では、飼い犬が人を襲って怪我をさせてしまったときのことを考えて付帯しておくのも一つの選択肢です。
重複付帯に注意
個人賠償責任特約は火災保険でも付帯することができます。また、自転車事故に特化した自転車保険も販売されており、自転車事故については、こちらとも重複する部分があります。
このような保険の重複があっても、保険金が二重に支払われることはありませんので保険料の無駄になってしまいます。
各保険の補償限度額や補償範囲を確認し、過不足のない最適な保険を掛けるようにしましょう。
預かり物・お見舞い金は補償対象外
個人賠責特約では注意しなければならない点がいくつかあります。
預かり物
他人から預かった物の損害は補償対象外となっています。
預かり物を壊してしまった場合も、他人の物に生じた損害であることは間違いないのですが、この場合は自己管理物と言って自分の所有物と同じ扱いとなってしまいます。このため預かり物は他人物とは見なされず、補償の対象とはなりません。
お見舞金
個人賠責特約は、あくまでも法律上の損害賠償責任が発生した場合に補償されるものです。
そのため、法律上の損害賠償責任はないけど、世間体を考えてお見舞い金を支払ったといった場合には、そのお見舞金は補償の対象とはなりません。
例えば、子供のサッカーの試合中にラフプレーで相手の選手に怪我をさせてしまった場合がこれに当たります。
このようなスポーツ中の事故は、よほどの状況や怪我でない限り、法律上の賠償責任が発生することはありません。そのため、治療費を負担する場合でも法律上の義務はないため、補償は受けられないということになります。