駐停車中の交通事故では、原則として運転者や所有者が事故の責任を問われることはありません。しかし、例外的に所有者や運転者にも不法行為責任や運行供用者責任が問われる可能性があります。
危険な場所での駐停車は責任を問われる可能性がある
停車中の事故では通常後続車から追突されても、安全運転義務違反とはならず過失なしとされますし、駐車中の事故ではそもそも運転していないのですから運転者としての義務を負いません。
しかし、駐停車している場所が危険であることが予測されるような場所であった場合、不法行為責任や運行供用者責任を負う可能性があります。例えば、夜間での視認性の悪い場所での駐停車、見通しの悪いカーブでの駐停車、高速道路での駐停車等がこれに当たります。
具体的には、夜の9時40分に、駐車していた大型クレーン自動車にバイクが衝突し、その運転者が死亡したケースで、クレーン自動車側の責任を認めた判例があります。
相手方の過失も大きく影響する
通常の追突事故を考えれば当然のことですが、駐停車していた側が責任を負うと言っても、やはり大部分は衝突した側に多くの責任割合が課せられるのが一般的です。
片側3車線の道路の1番左側の車線に停車していた自動車にバイクが追突してその運転者が死亡したケースで、裁判所は、朝6時40分で明るくなっていたこと、見通しの良い道路であったこと、停車していた自動車がハザードランプを点灯させていたこと等を理由に、前方注視義務に違反したバイクの運転者の過失が大きいとして、停車していた側の過失を否定しました。
いずれにしても、危険な場所での駐停車は極力避けるようにし、駐停車中はハザードランプを確実に点灯させるようにしてください。
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