自転車は道路交通法の規制を受ける軽車両に当たります。そのため、事故が起こった場合には一定の過失責任を問われることになります。しかし、自動車と比べるといくつかの点で有利に扱われます。
自転車が有利に扱われるポイント
第1に、二輪車であるため事故のときの死傷リスクが4輪自動車より高いことが挙げられます。これはオートバイでも同じことが言えます。自動車の車内は車体や窓ガラスである程度衝撃を抑えることができますが、自転車は車外にいるのと同じことですし、シートベルトで体を固定することもできません。同じことはオートバイにも言えます。
第2に、スピードが出ないことが挙げられます。自動車やオートバイのように原動機が付いているわけではありません。そのため比較的安全な車両であり、責任の負担も軽減されることになります。運転するのに免許が必要ないこともそれを示しています。
自転車の過失相殺
自転車はその気になれば歩行者の歩行速度を同程度のスピードで走ることもできます。一方で、ロードバイク等のスポーツ用自転車ではバイク並みの高速で走行することも可能です。
そのため、自転車の過失割合の考え方はその走行速度によって柔軟に解釈します。具体的には時速10㎞以下で走行している場合(自転車を押して歩いている場合も含みます)には歩行者と同じ扱いとし、時速30㎞以上で走行している場合は自動車とオートバイの事故と同じ扱いがなされます。
走行中は軽車両である以上、自動車と同等の義務を負います。具体的には、酒気帯び運転、2人乗り、わき見運転の場合は過失があったとみなされ5%~10%過失割合が加算されます。また、自転車は自動車と同様左側通行が義務付けられていますので、右側通行中の事故は5%加算となります。
酒酔い運転や片手運転、高速での運転、ブレーキ故障車の運転等の違反がある場合は重過失とみなされ10%~20%の過失割合が加算されます。
逆に過失割合が減算される要素として、運転者が児童又は高齢者である場合があります。児童・高齢者は一般的に集中力や回避能力が低くなっていますので、自動車の方が相手を見て特に注意すべきと考えられるためです。
自動車の過失割合
自動車側の事情によっても過失割合が修正されます。
夜間の事故は、自動車からの視認性が低くなりますので、自動車の過失割合が5%減算されます。
この他著しい過失があれば5%~20%、重過失がある場合は10%~20%の過失割合が加算されます。著しい過失の例としては、酒気帯び運転、時速15㎞~30㎞のスピード違反、著しい前方注視義務違反などがあります。重過失としては、時速30㎞以上のスピード違反、酒酔い運転、無免許運転などです。