自動車は走行中はいつでも必要に応じて徐行することが義務付けられています。
また、特定の場所を走行する際は必要性の有無にかかわらず、必ず徐行しなければなりません。
徐行に関する違反は、道路交通法に「歩行者用道路徐行違反」、「徐行場所違反」、「安全地帯徐行違反」の3種類が規定されています。
それぞれの違反の罰則と違反点数は次の通りです。
違反名称 | 罰則 | 違反点数 |
---|---|---|
歩行者用道路徐行違反 | 反則金7,000円 | 2点 |
徐行場所違反 | 反則金7,000円 | 2点 |
安全地帯徐行違反 | 反則金7,000円 | 2点 |
※反則金は普通車の場合の金額です。
歩行者用道路徐行違反
歩行者用道路とは
歩行者用道路とは、文字通り歩行者が通行するための道路のことです。自動車が通行することは原則として禁止されています。
歩行者用道路の具体例は次の通りです。
- 自動車の通行が全面的に禁止されている道路
- 歩行者天国
- 通学路等の一定時間帯の通行止め
なお、大きな道路等の脇にある歩行者専用の道路は、道路交通法で言う「歩行者用道路」には該当しません。ここで言う歩行者用道路は、道路全体が歩行者専用である道路を言います。
歩行者用道路徐行違反とは
歩行者用道路徐行違反とは、歩行者用道路を走行する自動車が徐行義務に違反することを言います。(道路交通法第9条、第8条第2項)
繰り返しになりますが、そもそも自動車は歩行者用道路を通行することはできません。
しかし、警察署長の許可を得た場合は通行することができるようになります。
例えば、自宅前の道路が通学時間帯に通学路となるため自宅から自動車を出せないと言った場合に、警察署長の許可を得ることで通行ができるようになります。また、工事車両が通行禁止の道路に入る場合等があります。
このような場合は歩行者用道路を通行することができますが、このとき常に徐行することが義務付けられています。
歩行者用道路では、歩行者天国をイメージすればわかりやすいですが、歩行者は自動車の走行を想定していませんので、自動車側は特に注意する必要があるためです。
歩行者用道路違反は、許可を得た特殊な状況でしか違反が発生しないという、少し変わった違反行為です。
徐行場所違反
自動車が走行することができる道路であっても、次の場合には徐行しなければなりません。(道路交通法第42条)
- 信号のない交差点で、左右の見通しがきかない場合(優先道路走行時を除く)
- 道路の曲がり角付近を走行する場合
- 上り坂の頂上付近を走行する場合
- 急な下り坂を走行する場合
以上のいずれかの場合に徐行せず走行すると、徐行場所違反となります。
安全地帯徐行違反
自動車は、安全地帯のそばを通過する場合には、その安全地帯に歩行者がいる場合は徐行しなければなりません。(道路交通法第71条第3号) これに違反すると、安全地帯徐行義務違反となります。
この違反は、少し誤解してしまいそうなことが2つあります。
1点目は、安全地帯は徐行しないと通行できない、という勘違いをしてしまう可能性があることです。徐行であろうと安全地帯の中を通行することは一切禁止されていますので注意してください。徐行というのは、あくまでもそばを通過する場合の話です。
2点目は、安全地帯のそばであっても、人がいなければ徐行する必要はないという点です。
参考条文
道路交通法第9条(歩行者用道路を通行する車両の義務)
車両は、歩行者の通行の安全と円滑を図るため車両の通行が禁止されていることが道路標識等により表示されている道路(第十三条の二において「歩行者用道路」という。)を、前条第二項の許可を受け、又はその禁止の対象から除外されていることにより通行するときは、特に歩行者に注意して徐行しなければならない。
道路交通法第8条第2項
車両は、警察署長が政令で定めるやむを得ない理由があると認めて許可をしたときは、前項の規定にかかわらず、道路標識等によりその通行を禁止されている道路又はその部分を通行することができる。
道路交通法第42条(徐行すべき場所)
車両等は、道路標識等により徐行すべきことが指定されている道路の部分を通行する場合及び次に掲げるその他の場合においては、徐行しなければならない。