道路を通行する場合は、信号や道路標識・標示等に従う必要があります。しかし、場合によっては信号や道路標識よりも現場にいる警察官の指示に優先的に従う必要があります。このような警察官の指示に反した場合は「警察官現場指示違反」や「警察官通行禁止制限違反」となります。
罰則と違反内容
「警察官現場指示違反」、「警察官通行禁止制限違反」の違反点数と罰則は次の通りです。
違反名称 | 罰則 | 違反点数 |
---|---|---|
警察官現場指示違反 | 懲役3ヶ月以下又は罰金5万円以下 | 2点 |
警察官通行禁止制限違反 | 懲役3ヶ月以下又は罰金5万円以下 | 2点 |
表を見ていただければわかるように、これらの違反では違反点数が2点ですが、反則金通告制度が適用されず、赤キップを切られることになります。基本的に3点以下の違反は反則金扱いですので、これらの規定はやや特殊な扱いであると言えます。
警察官現場指示違反
交通を規制する必要が生じた場合で、信号や道路標識を設置している時間がない時に、代わりに警察官が適切な現場指示を行う必要があります。警察官現場指示違反とは、このような状況で現場警察官の指示に従わないことを指します。(道路交通法第4条第1項後段)
具体的には。例えば他の自動車が交通事故で信号機を壊してしまった場合に、警察官が交通整理を行うことがありますが、これに従わないと違反となります。
類似の違反に、高速道路における高速自動車国道措置命令違反があります。こちらも罰則や違反点数は同じです。
なお、パトカーなどの停止命令を無視すると警察官現場指示違反となると説明しているサイトが多く、大半の人が勘違いしているようです。しかし、警察官現場指示違反は道路標識等の規制の代わりに警察官が行う交通規制に違反することですから、単に停止命令に違反しただけの場合はこれに該当しません。
警察官通行禁止制限違反
地震や土砂災害が発生して道路が損壊すると危険ですので通行が制限される場合があります。また、道路の沿線で大きな火災が発生しても同様です。このような場合、警察官によって道路の通行が禁止される場合があります。(道路交通法第6条第4項) この禁止措置に違反して通行しようとすると、警察官通行禁止制限違反となります。
参考条文
道路交通法第4条第1項(公安委員会の交通規制)
都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、又は交通公害その他の道路の交通に起因する障害を防止するため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、信号機又は道路標識等を設置し、及び管理して、交通整理、歩行者又は車両等の通行の禁止その他の道路における交通の規制をすることができる。この場合において、緊急を要するため道路標識等を設置するいとまがないとき、その他道路標識等による交通の規制をすることが困難であると認めるときは、公安委員会は、その管理に属する都道府県警察の警察官の現場における指示により、道路標識等の設置及び管理による交通の規制に相当する交通の規制をすることができる。
道路交通法第6条第4項(警察官等の交通規制)
警察官は、道路の損壊、火災の発生その他の事情により道路において交通の危険が生ずるおそれがある場合において、当該道路における危険を防止するため緊急の必要があると認めるときは、必要な限度において、当該道路につき、一時、歩行者又は車両等の通行を禁止し、又は制限することができる。