「被害者側」の範囲

交通事故等の不法行為では、被害者側に過失があれば、過失相殺がなされて加害者の支払う損害賠償額が減額されます。では「被害者側」とはどのような人物のことを指すのでしょうか。

過失相殺の趣旨

交通事故が発生すると、事故の加害者は被害者に対して民法709条の不法行為に基づく損害賠償をしなければなりません。しかし、交通事故は被害者にも過失、つまり事故の原因となる行為が認められる場合が少なくありません。むしろ、交通事故ではほとんどの場合被害者にも何らかの過失があります。

事故の原因が加害者だけでなく、被害者にも存在するのであれば、発生した損害額の全てを加害者に持たせるのではなく、被害者にも一部負担させるのが公平でしょう。実際、民ぽ722条は、被害者に過失がある場合は、その過失の程度に応じて支払われる損害額が減額される、と規定されています。これが過失相殺です。

過失相殺の趣旨は、発生した損害を加害者と被害者が公平に分担することです。公平な分担とは過失の程度に応じて賠償額が増減されることを意味しています。

「被害者側」と第三者

さて、ここからが本題ですが、事故の原因となる過失は何も加害者と被害者のどちらか一方だけに発生するものではありません。加害者・被害者以外の第三者の過失が介在することによって事故が発生することもあり得ます。このような場合に過失相殺はするべきでしょうか。

第三者は被害者とは別人なのだから、過失相殺はするべきではないと考えることもできそうです。しかし、そう考えると妥当ではない場合もあります。

例えば、親子が手をつないで道路を歩いていた場合、親の不注意と加害者の過失が重なって自動車が衝突して子供が死んでしまった場合、親は自分の過失を棚に上げて過失相殺をせずに全額の賠償を求めるのは常識的な感覚からして違和感があるでしょう。

このように考えると、過失相殺の対象とするのは被害者本人の過失だけでなく、「被害者側」としてある程度の範囲の立場の人の過失を対象とすべきことがわかります。

「被害者側」の基準

では、どのような立場の人が「被害者側」に当たるのか、その基準はどうなっているのでしょうか。判例は、身分上・生活関係上一体と見るべき立場の人の過失が過失相殺の対象となるとしています。

上記の例で言えば、被害者の子供と一緒に歩いていた親は「被害者側」に当たり、過失相殺の対象となることになります。

この他、助手席に乗っていた人の配偶者が運転する車が加害者の運転する自動車と衝突した場合に、運転していた配偶者の過失を過失相殺の対象としたケースがあります。

⇒ 「被害者側」の範囲1(配偶者)

逆に、「被害者側」として認めなかったケースとしては、保育園の保育士が保育児童を連れていたケースがあります。

「被害者側」の範囲2(引率保育士)

いずれも、判例の示した身分上・生活関係上一体という基準にのっとって判断しています。

例外的な事例もあります。暴走族の2人がバイクに乗っていた時の事故で、後ろに乗っていた人の怪我について運転していた人の過失による過失相殺を認めたケースがあります。このケースでは2人の関係は友人関係に過ぎず、身分上・生活関係上一体と見ることはできませんが、共同での暴走行為を行っていたという点で同じ立場にいたと認定されました。

「被害者側」の範囲3(共同行為者)

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