「被害者側」の範囲2(引率保育士)

交通事故等の不法行為については、被害者に過失が認められる場合は過失相殺がなされます。そして、過失の認定は被害者本人だけでなく、被害者側の過失も含まれることは「被害者側」の範囲1(配偶者)で述べました。

ここで紹介する判例は、保育園の保育士の過失が被害者側の過失に含まれるかどうかが争点となったものです。

最高裁判所判決昭和42年6月27日民集21巻6号1507頁、判時490号47頁、判タ209号143頁

事例

保育園の保育士Aは、4歳児のBと手を繋ぎ、その他数名の児童を引率して道路を歩行していた。その際Cの運転する自動車が接近してきたため、他の児童への注意を促す目的でBの手を放したところ、Bが道路に飛び出してしまい、Cの自動車に衝突して死亡した。
Bの遺族はCに対して不法行為に基づく損害賠償を請求したところ、Cは、保育士Aには引率者としての過失があるとして過失相殺を主張したため、引率の保育士が「被害者側」に含まれるかどうかが争点となった。

判決

被害者本人が幼児である場合における「被害者側の過失」とは、被害者の監督者である父母やその被用者である家事使用人等、被害者と身分上・生活関係上一体と認められる者の過失を言うものである。
両親から幼児の監護を委託された保育士のような立場は被害者と身分上・生活関係上一体とは認められず、「被害者側」には含まれない、としてCの過失相殺の主張を否定した。

解説

本判決では過去の判例で示された「被害者と身分上・生活関係上一体と認められる者」を「被害者側」の範囲と捉えたことをそのまま適用し、保育士は「被害者側」には含まれないとしたものです。

加害者の立場から見れば、保育士が被害者側でないことが感覚的におかしいように思えるかもしれませんが、過失相殺の趣旨が加賀者と被害者の公平を図るための制度であることを考えると、被害者と保育士の関係の程度を重視するのはやむを得ないでしょう。

なお、自動車の同乗者で、被害者と運転者が恋人関係であって同居関係にはなかったケースでも判例は運転者は「被害者側」には含まれないとして、過失相殺を否定しています。

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