交通事故は民法上の不法行為に該当します。そして、その損害賠償は事故と相当因果関係がある場合に認められます。そのため、交通事故の直接の要因ではなかったとしても、相当因果関係が認められる場合には損害賠償が認められることがあります。被害者の自殺による損害賠償がこの一例です。
相当因果関係の有無がポイント
交通事故を原因として被害者が自殺した場合、少なくとも自殺そのものと交通事故とは直接関係ありません。しかし、両社に相当因果関係が認められれば損害賠償も認められることがあります。
では、相当因果関係があるとは具体的にどのような場合でしょうか。被害者としては、もし交通事故が起こっていなければ自殺することもなかったと考えますし、加害者からしてみれば、事故の損害以上の賠償を求められるのは不公平だと考えるでしょう。
裁判実務では、交通事故の態様、事故後の治療経過、傷害・後遺障害の内容、事故前からの被害者の素因、自殺のきっかけとなった出来事等を総合的に考慮して相当因果関係の有無を判断します。
賠償金額は通常より減額される
相当因果関係が認められた場合でも、事故で直接死亡した場合と同額の賠償が支払われるわけではありません。事故とは直接の関係がない以上、被害者側の事情も斟酌されて、損害額もそれ絵に応じた減額がなされます。
一般的にかなりの割合が減額されるようで、最高裁で賠償額を2割にとどめたケースがあります。