高速道路では、一般道路と比べて事故が起こった場合の被害が大きくなる傾向にあります。そのため、違反行為や危険な行為をした自動車の責任は大きく、過失割合の負担割合も大きくなります。
2車線以上の高速道路では中央寄りの車線が追越車線になっています。これは一般道路と大きく異なる特徴であり、この違いは過失割合にも影響があります。
過失割合の修正要素としては、それぞれに速度違反があった場合は10%~20%加算、進路変更禁止場所では10%加算、分岐点、出入口付近での進路変更は10%加算、合図なしの車線変更は10%加算となっています。
目次
1.走行車線から追越車線に変更(自動車同士)
A:20% B:80%
走行車線から追越車線の車線変更する場合は、変更後の車線を走る自動車の方が速度が速いのが普通ですから、特に後方に注意して、追越車線走行車を妨害しないように配慮する必要があります。また、一般道より速度が速いため高い注意義務も求められます。そのため、車線変更車の過失割合は80%と高くなっています。走行車線への車線変更より高い注意義務が求められるため10%高くなっています。
2.追越車線から走行車線に変更(自動車同士)
A:30% B:70%
追越車線から走行車線へ車線変更した場合の過失割合です。追越車線から走行車線に車線変更する場合は、走行車線の走行車は進路を譲る必要があります。そのため、ケース1の場合よりも過失割合が10%高くなります。
なお、3車線ある高速道路では右側が追越車線で左と中央は走行車線ですが、左から中央への車線変更や中央から左への車線変更の場合も直進車両に同じ義務がありますので、直進車の過失割合は30%となります。
3.走行車線から追越車線に変更(直進車がバイク)
バイク:10% 自動車:90%
ケース1と車両の位置関係は同じですが、追越車線を走行していたのがバイクだった場合の過失割合です。車線変更をしようとする自動車にはケース1とまったく同じ責任が課せられています。しかし、相手方がバイクであった場合、自動車側の過失割合が不利に扱われるためその負担割合は90%となり、相手が自動車の場合より10%高くなります。これはバイクが不安定な乗物で死傷リスクが高く保護の必要性があるとされているためです。
4.追越車線から走行車線に変更(直進車がバイク)
バイク:20% 自動車:80%
ケース2で車線変更先の直進車がバイクだった場合の過失割合です。この場合も自動車はケース2と同じ責任を負いますが、バイクの要保護性から、自動車の過失割合もケース2より10%高く80%となります。
この場合でも、3車線の道路で自動車が左から中央または中央から左に車線変更した場合も同じ過失割合となります。
5.走行車線から追越車線に変更(車線変更車がバイク)
バイク:70% 自動車:30%
バイクが走行車線から追越車線に入った場合の過失割合です。この場合もケース1の車線変更車と同じ責任を負いますが、バイクは転倒しやすく危険な乗物であるため、過失割合が有利に扱われています。そのため、バイクの過失割合は70%にとどまります。
6.追越車線から走行車線に変更(車線変更車がバイク)
バイク:60% 自動車:40%
バイクが走行車線に車線変更した場合の過失割合です。この場合もバイクの保護のため、バイクの過失割合がケース2より10%低くなっています。