自動運転が当たり前になる時代は遠くはありません。緊急時以外はドライバーが運転する必要のない「レベル3」の自動運転自動車は2020年代に大きく普及が進むと言われています。
レベル3の自動運転自動車が普及すれば、これまでより安全でスムーズな自動車社会になると考えられます。
しかし、自動運転には問題もあります。そのうちの1つが、自動運転中に人をはねてしまった場合にどうなるのか、という問題です。
自動運転中の事故の責任は誰が負う?
自動車保険の賠償責任保険はドライバーが責任を負うことを前提としています。
しかし、自動運転中に事故が起こったとすれば、自動車を製造したメーカーもその責任が問われることも考えられます。
そうなると、事故に遭った被害者としては、ドライバー(の任意保険加入会社)と自動車メーカーのどちらに賠償請求すればいいのかわからず困ってしまいます。
自動運転の対人事故は任意保険での対応へ
このような問題がこれまで指摘されていましたが、損保大手4社は、任意保険の対人賠責で対応することを決定しました。
被害者の救済を最優先に考えることが最優先されるべきというのが理由です。
大手4社以外の保険会社も、基本的に同じ方針となることが予想されます。
もしメーカー側に事故の責任が存在することが判明した場合でも、一旦保険会社から賠償金を全額支払い、保険会社がメーカーに請求することになります。
そのため被害者は、責任の所在が明確にならなくても保険会社からすぐに賠償金を受け取れることになります。
ドライバーが加入する任意保険の対人賠責には、自動運転中の事故を補償する特約が無料で自動付帯されます。そのため、レベル3の自動車に乗り換えた場合でも、従来の任意保険を引き継ぐだけで、自動運転中の事故も補償されます。
なお、自賠責保険でも同じ趣旨で、一旦被害者に全額(限度額まで)の賠償金が支払われることが決まっています。