任意穂保険を使うと、ノンフリート等級がダウンする場合があります。このときにダウンするのは必ず3等級下がると思っている人もいるようです。しかし、現在の任意保険制度では、3等級ダウン事故、1等級ダウン事故、等級に影響がない事故(ノーカウント事故)の3種類があります。なお、以前に存在した等級すえおき事故は2012年の保険制度改変に伴い廃止されました。
3等級ダウン事故
任意保険を使うと原則として3等級ダウンします。特に1等級ダウン事故やノーカウント事故として定められている事故以外は全て3等級ダウン事故となります。具体的には下記の事故で保険を使用した場合に3等級ダウンとなります。
- 人を死傷させて対人賠償責任保険を使ったとき
- 他人の物を壊して対物賠償責任保険を使ったとき
- 1等級ダウン事故以外の理由で車両保険を使ったとき
以上を見てもらえばわかる通り、人身傷害補償保険や搭乗者傷害保険を使用した場合には等級がダウンすることはありません。ノーカウント事故となります。
なお、3等級ダウン事故で保険を使うと、翌年度の等級が今年度より3等級下がり、事故有係数が3年間適用されます。事故有係数とは、通常の等級よりも割引率の低い等級のことです。詳しい解説は「ノンフリート等級とは」を参照してください。
1等級ダウン事故
1等級ダウン事故は、特定の理由で車両保険を使ったときに適用されます。具体的には下記の理由で車両保険を使った場合です。1等級ダウンの保険を使うと、翌年度の等級が今年度から1等級下がり、事故有係数が1年間適用されます。
- 車両が盗難されて車両保険を使ったとき
- 車両が台風や洪水などの水害に遭って車両保険を使ったとき
- 落書き・いたずら・飛来物による事故に遭い車両保険を使ったとき
ノーカウント事故
ノーカウント事故は、人身傷害補償保険や搭乗者傷害保険と言った人身傷害に関する保険を使ったときに適用されます。もっとも、人身事故で対人対物賠責や車両保険を使わないというケースも少ないでしょうからあまり意味はないかもしれません。
この他、主契約に関係のない特約を使ったときにも適用されます。ノーカウント事故は文字通り等級に何も影響を与えませんので、翌年度は等級が1つアップしますし、もちろん事故有係数も適用されません。
- 搭乗中の怪我により人身傷害補償保険を使ったとき
- 搭乗中のケガにより搭乗者傷害保険を使ったとき
- 弁護士費用特約・ファミリーバイク特約等の特約を使ったとき 等
そもそも等級制度は、被保険者の運転技術を評価するためのものですから、人身傷害が発生しただけの場合や、運転技術に関係のない特約を使った場合
等級すえおき事故について
事故有係数が導入される2012年9月以前は、等級すえおき事故というものがありました。現在では廃止され、従来等級すえおき事故だった事故は現在1等級ダウン事故となっています。
なお、ノーカウント事故と何が違うのかよくわからないかも知れません。等級すえおき事故は「翌年度の等級がすえおかれる事故」という意味です。つまり、翌年度の等級がアップしないしダウンもしないということになります。ノーカウント事故では翌年度に等級がアップしますから、ノーカウント事故より不利な扱いとなっていました。
事故の種類 | 翌年度の等級 | 事故有係数 | 対象となる事故 | 備考 |
3等級ダウン事故 | 3等級ダウン | 3年 | 対人対物賠責・車両保険 | |
1等級ダウン事故 | 1等級ダウン | 1年 | 車両保険(一部)・特約 | |
ノーカウント事故 | 1等級アップ | なし | 人身傷害補償・搭乗者傷害 | |
等級据え置き事故 | 増減なし | (事故有係数導入前に廃止) | 車両保険(一部)・特約 | 2012年廃止 |