共同危険行為とは、複数の自動車(二輪含む)で、周囲の交通を妨害するような行為を言います。成立するのは複数の自動車での行動のみで、1台の自動車で同様の行為を取っても、共同運転危険行為には該当しません。
共同危険行為の具体例
共同危険行為の典型的な例は暴走族による集団走行です。例えば、下記のような走行を2台以上の集団ですると共同危険行為となります。
- 暴走族の集団走行
- 違法な公道レース
- ゼロヨン暴走
- ドリフト走行 等
ゼロヨンとは、停止した状態から400mの距離をどちらが速く走行できるかを競う競技です。当然のことながら公道でやるのは極めて危険です。
ドリフト走行とは、意図的にタイヤを滑らせてカーブを曲がる走行です。対向車線にはみ出す可能性が高く、見通しも悪いためやはり非常に危険です。
共同危険行為等禁止違反の罰則と違反点数
違反点数:25点 罰則:2年以下の懲役又は50万円以下の罰金
上で紹介したように非常に危険な行為ですから、違反点数も罰則も非常に重い内容となっています。ただし、違反名に「共同」と付いている以上、どのような危険運転をしていても単独走行の場合、この違反の適用はありません。
単独走行の場合は安全運転義務違反
ではドリフト走行等の危険行為を単独で行った場合どのような違反となるのでしょうか。
全てのドライバーには(当たり前のことのようですが)安全運転をするという義務があります。ドリフト走行等の危険行為は、明らかに安全運転義務に反していますから、安全運転義務違反となります。
安全運転義務違反は、反則金9,000円で違反点数は2点ですから、共同危険行為等禁止違反と比べると極端に罪が軽いように感じられるかもしれません。
しかし、都道府県の公安委員会は免許停止や免許取消の処分を点数に関わらずに実施することができます。ドラッグレースやドリフト走行等の極めて危険な行為であれば、一発免取の理由としては社会的妥当性からも十分と考えられます。
また、反則金の違反は犯罪ではないと勘違いしている人も多いですが、安全運転義務違反も犯罪行為ですから逮捕されることも考えられます。実際にドリフト走行を行ったとして安全運転義務違反で逮捕された例もあります。
人身事故を起こした場合の刑事責任
繰り返しますが、ドリフトやドラッグレースは非常に危険な運転行為ですから、このような走行中に人身事故を起こした場合は、単独か共同かに関わらず、危険運転致死傷罪に問われる可能性が高くなってきます。また共同の場合、事故を起こさなかった側の自動車の運転者も共謀共同正犯として同罪となる可能性もあります。
参考条文
道路交通法第68条(共同危険行為の禁止)
二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。