道路交通法では自動車に掲示しなければならない標識(マーク)が定められてます。
- 初心運転者標識
- 高齢運転者標識
- 身体障害者標識
- 聴覚障害者標識
ここではこれらの標識の内容や義務について説明します。
目次
初心運転者標識
初心者マークは正式名称を初心運転者標識と言います。
初心者マークを見たら「あまり近寄らないようにしよう」と思う方も多いでしょうが、周囲の自動車には初心者マークを付けている車に対する義務があることはあまり知られていません。
初心者マークについては道路交通法第71条の5で次のように定められています。
道路交通法第71条の5(初心運転者標識等の表示義務)第84条第3項の普通自動車免許を受けた者で、当該普通自動車免許を受けていた期間(当該免許の効力が停止されていた期間を除く。)が通算して一年に達しないもの(当該免許を受けた日前六月以内に普通自動車免許を受けていたことがある者その他の者で政令で定めるものを除く。)は、内閣府令で定めるところにより普通自動車の前面及び後面に内閣府令で定める様式の標識を付けないで普通自動車を運転してはならない。
1年間の掲示義務
初心者マークは免許を取ってから1年間掲示する必要があります。これは運転される方ならだれでも知っていると思いますが、罰則もあります。掲示しなかった場合は次の通り罰則があります。
- 反則金 :4,000円
- 違反点数:1点
掲示位置の決まり
初心者マークはどこに掲示してもいいわけではありません。掲示位置は、車両の前と後ろの地上0.4m~1.2m範囲の見やすい場所と定められています。
掲示位置の高さは、ワンボックス等の車高の高い車種では1.2m以上の場所に張ってしまわないように注意してください。
なお、提示位置は他の標識でも全て同じです。
免許取消後の再取得でも掲示が必要
道路交通法違反で免許を取り消され、再度運転免許を取得した場合は、また取得してから1年間は掲示しなければいけません。免許取消とは初めから免許を取得していなかったことと同じことになるため、取消前の運転期間もなかったことになります。
初心者に対する義務
周囲のドライバーは初心者に対して配慮した運転を行う必要があります。初心者に対して幅寄せや割り込みを行うと、初心運転者等保護義務違反となり罰則の対象となります。
- 反則金 :6,000円(普通車の場合)
- 違反点数:1点
ただし、相手が初心者でも初心者マークを掲示していなければ罰則はありません。周囲のドライバーが判断のしようがないからです。
なお、他の標識を掲示した自動車に対しても同じ義務があります。
高齢運転者標識
いわゆるもみじマークと呼ばれる標識です。枯葉マークと揶揄されていたため2011年に現在のデザインに変更されました。デザイン変更後も旧マークの使用は可能です。掲示の対象となるのは70歳以上のドライバーです。
高齢運転者標識は初心者マークとは異なり、2017年2月現在、掲示は努力義務となっています。
初心者マークと同様、周囲のドライバーは標識を掲示した自動車に配慮した運転をする必要があり、危険な幅寄せや割り込みは罰則の対象となっています。
将来的には義務化?
2017年2月現在、もみじマークの掲示は努力義務とされていますが、将来的には義務化が予定されています。実は義務化の法律は既に出来上がって一旦義務化されたのですが、道路交通法にも規定されているのですが、効力が停止されている状態です。
義務化の対象となるのは75歳以上の運転者で、違反した場合は2万円以下の罰金または科料が科されることになります。初心者マークの掲示義務違反と比べて罰則が重くなっています。
身体障害者標識
この標識は、運転者が身体障害による運転免許の制限があることを示す標識です。全ての身体障害者が掲示するわけではありません。
身体障害者のドライバーは障害の部位や程度によって様々な補助装置を使っています。具体的にどのような装置を使っているかは外からは判断できませんが、通常の自動車より反応が遅れることが予想されますので、初心者マークの自動車と同様の配慮が必要です。
なお、この標識の掲示は努力義務となっています。
幅寄せや割り込みも罰則対象となっています。罰則内容は初心者マークの場合と同じです。
聴覚障害者標識
この標識は、聴覚障害者が運転する場合に掲示する必要があります。聴覚のハンデは比較的周囲への影響が大きいため掲示は義務となっています。
周囲のドライバーとしては、特に注意して運転する必要があります。クラクションは聞こえない可能性があることに配慮してください。
幅寄せ・割り込みの罰則は他の標識と同様です。
「赤ちゃんが乗っています」の意味は?
「赤ちゃんが乗っています」というステッカーを掲示した自動車をよく見かけます。これは道路交通法で定められた標識ではありませんが、有意義な掲示です。
例えば、赤ちゃんの予想外の行動の影響で運転者が急ハンドルや急ブレーキを掛ける可能性があります。
弱者である赤ちゃんの命を守るために役立つこともあります。交通事故で同乗者が重傷で動けない場合、このステッカーがあれば救助する人が赤ちゃんに気付く可能性もあります。
このようにメリットがある標識ではありますが、押しつけがましいと批判されることが多いという問題があります。同様の問題は身体障害者標識にも言えます。
掲示のメリットに対する無理解がこのような反発を招いているとすれば、メリットが社会に浸透すればこのような批判も自然となくなっていくでしょう。
赤ちゃんが乗っていることをアピールすることで誰かに迷惑をかけているわけではありません。メリットを理解して受け止める広い心を持つのがいいのではないでしょうか。