自動車が盗難に遭い、その盗難車が事故を起こした場合、自動車の所有者は原則として何ら責任を負うことはありません。しかし、例外的に所有者が不法行為責任あるいは運行供用者責任を負う場合があります。
管理責任を怠れば責任を負う可能性がある
盗難車の運転では、当然のことながら一次的には運転していた泥棒が責任を負います。車の所有者はその運行について、その支配下にありませんから、責任を負うことはありません。
しかし、自動車の管理に何らかの過失があれば、不法行為責任や運行供用者責任を問われる可能性があります。事故を起こした時点では支配下にはありませんが、支配下に自動車がある状況で盗難されたことに過失が認められる場合には、その後に生じた事故についても責任が問われるということです。
具体的には、自動車のエンジンにキーを差しっぱなしにしたまま道路に車を放置していた場合に所有者の責任が認められています。これに対して、鍵をかけた車庫に保管していた自動車が盗難された場合には責任が否定されています。
この他、所有者の責任を認めるには、盗難と事故に時間的な接着性が必要とされています。上記のように管理責任に問題があったとしても、事故が長期間経ってから発生した場合は、因果関係が否定されるようです。
いずれにしても、自動車の管理は所有者の責任においてなされるべきものですから、わずかな時間であっても車を離れるときは確実に施錠しておくことが望ましいと言えます。
関連記事:運行供用者責任