道路交通法に違反して捕まると、運転免許の点数が加算されると共に、反則金や罰金を支払わなければなりません。一般には一括りに罰金と呼ばれることが多いですが、反則金と罰金は制度上大きく異なるものです。
制裁の名称 | 反則金 | 罰金 |
---|---|---|
金額 | ~3万円程度 | 最大100万円 |
違反の程度 | 軽微な違反 | 重大な違反 |
違反点数 | 3点以下が多い | 3点以上が多い |
正式名称 | 交通反則告知書 | 道路交通違反事件迅速処理のための共用書式 |
通称 | 青キップ | 赤キップ |
違反金の使われ方 | 国庫の一般財源 | 交通整備費用 |
反則金と交通反則通告制度
反則金とは、軽微な違反行為をした人に対して交通反則通告制度に基づき課される過料です。(「過料」は読みは「かりょう」が正確ですが、同じ読みの「科料」特別するために「あやまちりょう」と呼ばれることもあります。)
反則金の支払いを通告する書類のことを通称青キップと言いますが、正式名称は交通反則告知書と言います。
反則金の支払いは任意であり、不服がある場合は申し立てることによって裁判を受けることができます。(ただし、実際に利用されることは極めて稀です。)
交通違反は、どれだけ軽微な違反であっても刑事処分が規定された犯罪ですから、本来は刑事裁判によって裁かれる必要がありますが、交通反則通告制度の対象となる違反は反則金を納付することで、刑事処分が免除されます。
道路交通における違反行為は他の犯罪と比べて圧倒的に発生件数が多いため、警察や検察の負担を軽減する必要がありました。そのため、軽微な違反行為は反則金を支払えば刑事処分が免除されるという交通反則通告制度が設立されました。
交通反則通告制度の適用を受けるかどうかは違反ごとに個別に定められていますが、3点以下の道路交通法違反については反則金扱いとなっているものがほとんどです。(一部例外があります。)
なお、反則金の違反は犯罪ではない、と思っている人もいますが、上記で説明した通り反則金を支払わなければ罰金刑が科される可能性がありますから、反則金の違反が犯罪ではないという認識は誤りです。
実際、道路交通法には青キップの違反についても罰金や懲役刑といった刑罰が規定されています。あくまでも交通反則通告制度によって刑事処分が免除されるだけで、反則金を支払わないと道路交通法に規定された刑事罰を受けることになります。
罰金
罰金は刑事上の制裁です。反則金制度の趣旨を考慮しても刑事罰によるべきだと判断される、比較的重大な交通違反に対して科される金銭的な制裁です。特に悪質な場合は罰金ではなく懲役刑を受ける可能性もあります。
違反をしたときに切られる切符が赤いため赤キップと呼ばれますが、正式には「道路交通違反事件迅速処理のための共用書式」という長い名称です。
反則金の支払いが任意なのに対して、罰金刑に当たる違反があった場合は刑事裁判を受ける必要があります。日本では刑罰を科す場合必ず刑事裁判を経る必要があるためです。検察官による取調べも受けるため出頭する必要があります。裁判は多くの場合略式裁判で行われ、ドラマ等で見られる一般のイメージのような法廷での裁判ではありません。
なお、罰金を支払わない(支払えない)と、拘置所に収容されて強制労働をさせられる場合もあり、この場合は実質的に懲役刑と大差ありません。
懲役について
刑事罰では罰金ではなく懲役刑が科される場合もあります。過失運転致死や無免許運転での事故などの重大な犯罪でない限り、懲役刑を受けることはほとんどありません。
支払われた反則金や罰金の使われ方
支払う立場からすれば反則金も罰金も同じようなものですが、その使われ方は制度によって全く異なっています。
反則金は国庫に帰属した後、交通安全対策特別交付金として各都道府県や市町村といった地方公共団体に交付され、道路標識や信号機等の整備の費用として役立てられます。
これに対して交通違反による罰金は、その他の刑事罰の罰金と同じ扱いを受け、国庫の一般財源に帰属します。要するに、他の税金と同じ扱いを受けることになります。