自動車は健康で正常な状態でしか運転することができません。正常な状態でない運転と言えば、真っ先に思い浮かぶのが飲酒運転です。しかし、飲酒運転以外にも正常な状態で運転できない場合があります。それがここで紹介する過労等運転と麻薬等運転です。
過労等運転と麻薬等運転の刑罰と違反点数
過労運転等、麻薬等運転は、いずれも交通反則通告制度の対象とはならない赤キップの違反で、刑罰もかなり重くなっています。点数も過労等運転で25点、麻薬等運転で35点と他の交通違反とは桁違いの重さとなっています。
違反名称 | 刑罰 | 違反点数 |
---|---|---|
過労運転等 | 懲役3年以下又は罰金50万円以下 | 25点 |
麻薬等運転 | 懲役5年以下又は罰金100万円以下 | 35点 |
過労等運転
過労等運転とは、過労・病気・薬物等の影響によって正常な運転ができないのに運転することを言います。(道路交通法第66条) ただし、ここで言う薬物とは、麻薬等を除きます。麻薬等によって運転できない場合は麻薬等運転となります。また、過労・病気・薬物等の影響があっても、それとは別にアルコールの影響があり酒酔い運転と見なされた場合は、酒酔い運転が適用されます。
最近よく問題となるのは、病気であるのを隠したまま運転して重大事故を起こすケースです。このような場合は事故を起こすと危険運転致死傷という重大な罪となる可能性があるのはもちろん、運転するだけで重大な違反になるのです。
麻薬等運転
麻薬等運転とは、次の薬物の影響で正常な運転ができない場合を指します。
- 麻薬
- 大麻
- あへん
- 覚醒剤
- 毒物及び劇物取締法で規制された薬物
当然ですが、これらの薬物は違法であり、所持・使用したことによる犯罪は別途成立します。
なお、麻薬等運転は、通常の交通違反よりも重い特定違反行為として規定されています。特定違反行為を行った運転者は免許の再取得禁止期間が一般違反行為の場合と比べて長くなっています。
根拠条文
第66条(過労運転等の禁止)
何人も、前条第一項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。
第117条の2第3号
第六十六条(過労運転等の禁止)の規定に違反した者(麻薬、大麻、あへん、覚せい剤又は毒物及び劇物取締法 (昭和二十五年法律第三百三号)第三条の三 の規定に基づく政令で定める物の影響により正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運 転した者に限る。)
第117条の2の2第7号
第六十六条(過労運転等の禁止)の規定に違反した者(前条第三号の規定に該当する者を除く。)