ここでは交通事故に関する幅広い知識を紹介します。事故が発生した場合の対処法やその責任、過失相殺、損害賠償額の決定方法等を解説します。交通事故が発生すると民事・刑事・行政上の3つの責任を負います。
目次
事故発生から解決まで
不幸にも交通事故に遭ってしまった場合、大抵の方は何をしていいのか戸惑うことになるでしょう。いざという時に少しでも落ち着いて迅速な行動ができるよう、事故発生から解決までの流れを予習しておくことをおすすめします。
⇒ 示談・調停・裁判
⇒ 示談と和解の違い
交通事故の民事責任
交通事故では様々な立場の人が様々な状況で民事責任を負います。もっとも、これらの責任は任意保険、特に対人賠償責任保険・対物賠償責任保険に加入することでほとんど回避できます。
⇒ 使用者責任
損害賠償額の算定
交通事故の被害を受けたら、被害者は加害者に対して損害賠償を請求することができます。ただし、好きな金額を請求できるわけではなく、どのような場合にどれだけの金額が請求できるのかは詳細が定められています。
損害賠償は大きく分けて、人身損害と物的損害に分けられます。人身損害は財産的損害と精神敵損害に分類されます。さらに財産的損害は積極損害と消極損害に分類されます。
人身事故損害額
⇒ 胎児に関する損害
⇒ 慰謝料の増額事由
人身事故の逸失利益
交通事故により人が死亡した場合や後遺障害を負った場合には、事故がなければ将来得られたはずの収入や利益を受けられる機会が絶たれることになります。このような場合、本来得られたはずの利益が損害として認められます。これを逸失利益と言います。
⇒ 賃金センサス
⇒ ライプニッツ係数
物損事故の損害額
物損事故では人身事故と比較して損害額が低くなる傾向があります。そのためいちいち裁判で争うより示談で済ませてしまう方が費用が掛からず得策です。示談に納得いかず泣き寝入りすることを回避したいのであれば、任意保険で弁護士費用特約を付帯するのがいいでしょう。
⇒ 車両に対する損害
⇒ 車両以外の損害
過失相殺
交通事故の示談の場で主に話し合われる内容の一つが過失割合です。自動車保険の補償が適正に掛けられていれば、基本的に過失割合については保険会社同士の調整の問題ですからあまり気にする必要はない場合もあります。
⇒ 過失相殺の根拠
過失割合の相場
自動車事故は不法行為事件の中で特に件数が多いため、迅速な処理が必要となります。そのため、本来過失割合は個別的な事例に基づいて判断されるものですが、交通事故においては事故の態様・類型ごとに詳細に過失割合の例が示されています。これによって効率的に示談や裁判を進めることができます。あくまでも相場ですので、個別的な事情によって過失割合は左右されます。
自動車同士の事故の過失割合
自動車同士の事故では、互いに負っている義務の内容に違いはなく、特に有利・不利の関係もありませんから、基本的に過失の程度がそのまま過失割合に反映されます。
四輪自動車とバイクの事故の過失割合
バイクは転倒に等による死傷リスクが高いため、自動車と比べて保護の必要性が高いとされています。そのため過失割合の点で有利に扱われます。
⇒ 信号のある交差点の直進バイクと右折自動車の事故の過失割合
⇒ 信号のある交差点の直進自動車と右折バイクの事故の過失割合
⇒ 信号のない交差点の直進バイクと右折自動車の事故の過失割合
⇒ 信号のない交差点の直進自動車と右折バイクの事故の過失割合
⇒ 駐車場に出入りする自動車・バイクと道路走行車の事故の過失割合
自動車と自転車の事故の過失割合
自転車は免許もなく誰でも運転でき、原動機が付いていないためスピードもあまり出ませんから、過失割合の点で自動車より有利な扱いを受けます。この点は自動車対バイクの事故と同様ですが、自転車には免許もいりませんし原動機も付いていませんから、バイクと比較しても自転車の方が過失割合の負担は少なくなっています。
自動車と歩行者の事故の過失割合
自動車と人では、人の方が圧倒的に有利に扱われています。自動車は自己の便益のために他人に危険を負担させて運転している以上大きな責任を負うためです。また物理的に見て人は自動車と比べて弱い立場にありますから、人の違反があったとしても自動車の過失割合はあまり減算されません。
自転車と人の事故の過失割合
自転車の危険な運転により高額賠償が発生する交通事故が増えています。自転車対人の事故ケースはまだ少なく、ここで示す過失割合が確立されたものとは言えませんが、参考のため掲載しています。なお、自転車の事故は任意保険では対応できませんので、補償を受けるには自転車保険や個人賠償責任保険に加入する必要があります。
高速道路での事故の過失割合
高速道路は一般道路と基本的な交通ルールが異なりますので、過失割合についても同じ事故でも一般道路とは分けて考えます。一般道路と比較して危険性が大きいため、過失があるとされた側の負担割合が一般道より大きくなる傾向があります。
損益相殺
損害賠償額の減額がなされるのは相手方に過失がある場合に限られません。損害の填補が加害者の賠償以外でなされることがあれば、賠償額はその分だけ減額されます。これを損益相殺と言います。損益相殺の典型的な例は健康保険による医療費軽減分があります。医療費が軽減された分も加害者から受け取ると2重払いになってしまうためです。
交通事故の行政上の責任と刑事上の責任
道路交通法や自動車運転死傷行為処罰法では、交通事故や交通違反に関する刑事罰や行政罰の内容について詳細に規定しています。これらの罪や行政罰に該当する場合は、民事的な損害賠償責任も重くなるのが通常です。